「四角いクルマ」は、なぜ日本で大人気なのか 軽ハイトワゴンやミニバンが人気を占める

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同様に、高速道路の制限速度も日本は時速100kmが基本で、新東名の一部区間などでようやく時速120kmが試されている程度である。また中央自動車道は、自動車専用道路であって高速道路ではないとの解釈から、制限速度は時速80kmのままである。

イギリスや欧州の高速道路は時速130km(時速約80マイル)制限であり、一部ドイツのアウトバーンのみ速度無制限区間がある。

さらに欧州では、クルマの流れを阻害しないことが優先され、例えば信号機も、赤から青へ変わる前に、いったん、赤と黄色が同時に点灯し、青へ変わることを事前に告知する。それが行われることで、交差点に近づいたクルマが赤信号で減速しようとした際、赤と黄色が同時に点灯すれば間もなく青に変わることが判断でき、余計な減速をせず再加速の準備ができる。

アメリカにおいても、州ごとに交通政策に差はあるが、日本の左側通行に置き換えて話すと、左折は信号機が赤でも安全に注意すればできたり、交叉点では直進より右折を先にさせることで、交差点の手前で右折車が滞り直進車が青信号でも進めないことによる渋滞を抑制したりしている。信号のない一時停止の交差点では、先に交差点に差し掛かったクルマが優先される。したがって、交互に次々と交差点を渡ることができるのである。

アメリカは、日本や欧州に比べ国土が広いにもかかわらず、速度規制については日本の交通事情と似ている。しかしそもそもアメリカでは、遠くへ行くなら飛行機で飛んでしまうので、クルマで速く移動する必要性があまりない。なおかつ、ロサンゼルスなどは別だが、国土が広いゆえに渋滞が少なく、近隣への移動であればゆっくりした速度でも淡々と走っていれば移動時間は読める。

個人が運転するクルマの価値や重要性について、日本と欧米ではこれほど認識の違いがあるのである。

象徴的な軽ハイトワゴン

前置きがずいぶん長くなったが、クルマの姿や造形は、そうした国柄や交通事情といった地理の影響を受けると考えられる。

日本のように限られた土地で多くの人が快適に過ごすために、どのような生活が好ましいかを考えると、使える面積や空間を有効利用することに尽きる。つまり、クルマでいえば四角い形だ。

象徴的なのが、軽自動車のハイトワゴンだろう。軽自動車規格の寸法制限の中で、いかに快適に、また空間を有効活用できるかを考えハイトワゴンの構想が生まれた。その発想は、登録車でも家族向けの小型車は同様である。なおかつ、とくに後ろのドアはスライド式が好まれる。狭い場所での乗り降りに際し、子どもや年配の人が使うにはスライドドアの方が開口部をつねに大きく開けられる。

こうした考えは、ミニバンについてもいえて、車体寸法は大きくても、日本の道路事情や駐車場枠の寸法の影響を受け、室内空間の広さを売りとするミニバンは四角い形が最も合理的だ。もちろん、後ろのドアはスライド式に限る。トヨタが製造するジャパンタクシーは、まさにそうした四角いクルマの象徴の1つといえるだろう。イギリスでも、大都市ロンドンのタクシーは四角い。

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