東京駅で行列する「ロールケーキ店」の正体 駅やサービスエリアで「手土産」として人気

拡大
縮小

駅や空港、SAなどへの出店が多いにもかかわらず、実はアリンコのロールケーキ、お土産としては大きな欠点が2つある。1つには、賞味期限が購入した日の翌日と短いこと。もっともこれに関しては、「滅多に食べられない」というプレミア感をより高める要素かもしれない。

デメリットの2つ目は、切り分ける必要があり、贈る相手を選ぶことだ。

「個包装ではなく切り分けするのはお土産として利便性が低いかもしれませんが、一つのケーキをカットしてみんなで食べる行為には温かみが感じられます。ご家族はもちろん、会社などでも団らんの時間に食べていただきたいなという気持ちがあります」(福地氏)

確かに、ロールケーキというと、昔懐かしい家庭のイメージも感じられる。個別包装されたものをそれぞれ食べるより、切り分けて食べるほうがコミュニケーションが生まれやすい。ナイフを入れたときに美しい断面が見えるのも、イベント性を高めてくれる。

現地に行かないと買えない種類がある

なお、アリンコのロールケーキは直径8.5cm長さ11cmで、少人数の家庭にちょうどよい大きさ。例えば夫婦だけの家庭なら、その日に1切れずつ、翌日また1切れずつ食べてなくなるぐらいだ。このように、一見、お土産としては不利な点も、「苦労してでも食べたい」という付加価値に転換されている。

ただ価格自体は、定番のバニラが905円、キャラメルロールが1429円といったように、1000円から1500円に収まる程度で、気軽に買える価格に設定されている。

そして付加価値をもっとも高めているのが、「現地に行かないと買えない種類がある」というご当地カラーだ。定番のバニラ、抹茶、黒豆入りの京ロールのほか、四季の限定品、クリスマス、バレンタインデー、ホワイトデーの10種類は全店で購入可能だが、残りの14の地域限定品はその店でしか入手できない。

なお、東京駅限定品はトーキョーキャラメルロールプレミアムと塩キャラメルロール。塩キャラメルの塩はイタリア産なので、東京駅に関しては、食材というよりは、東京の都会的なイメージを込めたということだろう。

つややかなグラサージュ(砂糖衣)がかかった美しくおいしそうな外見もインパクト大。写真は東京駅店限定の塩キャラメルロール1429円(写真:アリンコ)

各地で販売されているロールケーキは、東京・小石川工場にて一手に製造。ただし、東京駅限定の「トーキョーキャラメルロールプレミアム」のみ、店舗内で製造しているそうだ。各地のこだわり食材を仕入れて製造し、冷凍して販売店へと送る流れだ。そのため実は東京にはアリンコのすべてのロールケーキがそろっていることになる。

これまでブランドの周年イベントとして、東京ステーション店で全種類を販売するイベントを期間限定で展開したことがあるそうだが、今後は開催するかも含め未定だそうだ。

次ページ5月にはチョコミントロールの夏限定販売が
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT