福生「米軍ハウス」を活用した街づくりの正体

カウンターカルチャーが街をおもしろくする

FLAGは10名のクリエイターが理事を務める、まちづくりをクリエイトするチームだ。各理事は、アートディレクションやデザイン、不動産、建築、ファッション、酪農など、多様な分野に関わる人たち。ユニークなのは、メンバーの半分は福生市の住人だが、残り半分は市外の人ということ。「福生の中ではかっこいいけど、外に持っていって通用するかは別の話。グループとかバンドとか身内だけだと、どうしても視野が狭くなっちゃう。地元民では気づきにくい、外から見た地元の魅力を知ることも重要だと思って、その結果です」(田中さん)。

パブリックだけれど牙をむく反骨精神

活動の柱は2つ。1つは、定住支援だ。福生市の人口は現在6万人を割り、緩やかに下降している。目立つのが30代、40代の減少で、近隣の市町村へ移り住んでいるのだという。ファミリー世代にとって魅力のある地域にしてゆくことが求められているのだ。

「地域の魅力に共感していける価値観をどうつくりあげるのかという視点で、エリアのマネジメントやプロデュースをしています。米軍ハウスの庭先でハンバーガーをつくるイベント『SATURDAYS BURGER』や、米軍ハウスをリノベーションしたレストランでのバーベキューパーティー『BACKYARD BBQ Milking Party !』を開催しているのですが、集まった人たちは必ず米軍ハウスでの暮らしに興味を持ってくれますよ」(佐藤さん)

米軍ハウスの研究をするチームもあり、市内の公共スペースや事業主の所有する遊休地を活用して、米軍ハウスのレプリカをプロデュースするプロジェクトも本格化している。「代表例は埼玉県狭山市に建てた『Sayama House re+』。ハウスには6メートルのフロントヤードがあるんです。通常の3、4倍の家賃なのに、なかには世田谷から越してくる人もいて、あっという間に満室になったそう」(佐藤さん)。

地域の産業支援のため、月2回週末に行われる ファーマーズマーケット 「GO TO LOCAL MARCKET」の様子(写真:NPO法人FLAG)

2つ目の柱には、地域の産業支援を掲げている。その1つが近隣の農家や酪農家をはじめ50事業者が参加し、月2回週末に行われるファーマーズマーケット「GO TO LOCAL MARCKET」。FLAGが会場設営の資材や備品をセンスよく整えることから野菜の搬入なども担当し、今や福生に欠かせない催事となっている。

行政との協働も行っている。

「行政と住民の間をつなぐシステムづくりが重要だということで、福生市ではクリエイティブな公務員を育成する行政向けのプログラム『福生未来会議』を開催してきました。これが好評なので、47都道府県で展開しようと考えています。沖縄や山形などですでに動き出しています。各地域にはその土地の魅力がある。それを僕らはLOCAL STANDARDと呼んでいます。ぼくらが福生で魅力を見つけたように、各地域でも固有の魅力を見つけてブラッシュアップをし、発信して行きます」(佐藤さん)

田中さんも佐藤さんも、自由でクリエイティブな風情を身にまとい、堅いビジネスマンとはかけ離れた雰囲気だ。「ヒッピーの精神だったカウンターカルチャーが、おもしろいまちをつくると信じています。僕らは『パブリックだけれど、牙をむく』という反骨精神で、れからもやっていきます」(田中さん)。

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