「風通し」がいい会社と悪い会社の根本的な差 「うちは風通しがいい」という会社ほど程遠い
「風通しのいい職場です」「活発な議論が私たちの活力です」――就活生向けのパンフレットにありそうな言葉です。
「誰もが自由にものが言える職場ですか?」と経営者や管理職に聞けば、おそらく大多数が「もちろんそうです」と答えることでしょう。しかし、では彼らの下位にいる人たちにこっそり「実際のところ、どうなの?」と聞けば、「いや、まあ……」と言葉を濁すのではないでしょうか。自称「風通しのいい職場」になってしまっているのです。
組織が「場当たり的」になっていないか
誰もが「風通しのいい職場」がいいとわかっている。それなのに、実現できていないとすれば、どこに問題があるのでしょう。3月に上梓した拙著『「場当たり的」が会社を潰す』では、組織が「場当たり的」になっているかどうかを判別するための10の質問をチェック項目として挙げました。その中で「風通し」ととくに関係が深いのは、次の4項目です。
②言いたいことを言うに当たり、相手を論破するのではなく、ちゃんと議論できていますか。
③そのうえで、共感を生んだり、納得させたりしてちゃんと相手を動かしていますか。
④組織に所属する人たちがお互いのことを本当の意味でよく知っていますか。
①はまさに「風通しのよさ」を問うた質問ですが、②~④はその前提条件ともいうべき質問です。4つともイエスならば、自称ではなく「風通しのいい職場」でしょう。しかし、これがなかなか難しいわけです。
大前提として、①にイエスと皆が言えるには、「言いたいことを言っても、相手が許容してくれる。もし、否定されたとしても、それはその意見に対しての否定であって、人格を否定するわけではない」という認識が共有されていなくてはなりません。
実際の職場や人間関係では意見の否定イコール人格の否定になりがちで、そうならないためにはお互いが信頼し合う必要があります。その信頼関係が構築されてこそ、思い切った発言もできるというものです。
続く②③④はいずれもその信頼関係を築くうえで大切な条件です。②と③は、しっかりした対話をする習慣が根付いているかどうかを問うています。