ネット証券が続々参入、FXに次ぐブームの兆し「CFD」の実体とは
昨年12月、約400人の個人投資家を集めて開かれた都内のある投資セミナーで、オリックス証券が出展したブースに大きな人だかりができた。
出席者の関心を引いたのは、オリックス証券がインターネット経由で取り扱いを始めたばかりの新しい金融商品「CFD」。コントラクト・フォー・ディファレンスの頭文字をとったもので、日本語では「差金決済取引」。証券取引所などの市場を介さない店頭デリバティブ(金融派生商品)の一種である。
最近は「CFD投資で一獲千金」といったマネー誌の特集記事も目に付き、かつてのFX(外国為替証拠金取引)のように、ネット投資家の間でブームの兆しを見せている。
値動きに投資する商品 最大手SBIが参画へ
今年はCFD市場が一気に広がる可能性がある。従来は、取扱業者が3~4社に限られていたが、オリックス証券などのほか、約180万の取引口座を抱えるネット証券最大手のSBI証券(旧SBIイー・トレード証券)も、参入を表明。2005年からサービス展開している最古参のひまわり証券では、直近の取引口座が前年同期の数倍ペースで増えているという。
CFDとは、いったいどのような金融商品なのか。
CFDでは、投資家は、サービスを提供する証券会社が対象とする個別株や株価指数、債券や商品先物など、さまざまな金融商品に投資できる。が、その際に原資産を保有しない。簡単に言えば、「値動きそのもの」を投資対象にする商品である。
投資家が出した売買注文は、証券会社から「カバー先」と呼ばれる金融機関につながれる。カバー先は反対注文を出したり、他の金融商品でヘッジしたりといったさまざまな手法で、投資家の注文に応じたポジション(持ち高)を確保する。原資産の価格変動に応じCFDの価格も動き、投資家が反対売買で決済すると、カバー先もそれに沿って損益を確定。その値動き分から手数料を除いた分が、投資家の損益となる。「買い」からだけでなく「売り」からでも取引を始められるのも特徴だ。
証券会社が最大のウリにしているのは、CFDがFXと同様に、預け入れた証拠金の数倍のレバレッジを利かせた取引ができる点。
通常の株式投資でも信用取引ならレバレッジ取引ができるが、倍率は最大3倍程度。CFDは、個別株でもおおむね信用取引を上回るレバレッジを利かせられる。たとえばレバレッジ5倍なら、時価10万円の株式に2万円の証拠金で投資できる。その時価が11万円に上がれば、手数料を差し引く前の投資家の利益は1万円と、元手である証拠金の50%もの利益を得られる計算になる。これが個人投資家が注目する理由だ。