サスペンスだけではない「水谷豊監督」の最新作 日本映画で初めて「ドルビーシネマ」を採用
監督デビュー作『TAP THE LAST SHOW』を撮り終えた水谷監督は、プロデューサーたちと「次回作は何がいいだろう」という話をしていたが、「水谷流のサスペンスが観てみたい」という話になり、本作の構想が生まれたという。
だが、サスペンスとは言いながらも、事件の真相を刑事が解き明かすような作品ではなく、「轢き逃げ」という悲劇に向き合うことになった7人が、どのように自分に折り合いをつけるのかを描き出した人間ドラマとなった。
水谷監督が「人間の心の奥底には自分でもわからない感情が潜んでいる」と語るとおり、単純に答えを出すことはできないそれぞれの複雑な心境がぶつかり合い、観る者の心を揺さぶる。また脚本に関しても、「脚本の執筆を終えると、監督としての新たなアイデアが出てくるのも不思議な経験でした。今になると、僕の場合は脚本執筆と監督が地続きになっており、自分の構想を監督として映像化するに当たり、脚本の執筆は必要不可欠であった」と振り返る。
主演の2人はオーディションで決定
配役に関しては、「生活感というか、若者特有の生っぽさが欲しかった」という水谷監督の思いから、主人公の秀一役の中山麻聖、親友の輝役の石田法嗣をオーディションで選んだ。
デビュー作『TAP THE LAST SHOW』でも、圧巻のタップシーンを演じられるキャストを探すために、300人強の若いダンサーを集めたオーディションを実施。第一線で活躍する俳優だけあって、キャスティングへのこだわりが強いようだ。現場でも、俳優に対する演出が具体的で、時には「こんな感じでやってみて」と手本を示すこともあったという。
そして水谷監督の盟友ともいうべき岸部一徳、水谷監督とは旧知の間柄である檀ふみらベテラン勢も出演。水谷監督が「毎回、わたしの想像を上回る芝居を見せてくれた」と感服するとおり、圧倒的な存在感を見せつけている。
撮影、照明、編集、美術といったスタッフ陣は「相棒」シリーズなどで水谷監督とタッグを組んできた精鋭が参加。本作のテーマソングは手嶌葵の「こころをこめて」。「観た人が映画館を出るときに前向きな気持ちになってほしい、そのためには優しく包むような女性の声で最後を締めてほしい」という水谷監督の思いに合致したのが彼女の透き通った声だったという。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら