30歳臨床心理士の彼が味わう金と恋愛のリアル 結婚願望なし、貯金は少ないが執着はしない

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高校に入ってしばらくして、琢磨さんは臨床心理士になりたいという夢を持った。きっかけは、周りで離婚をする家庭が多かったことだ。離婚家庭の子どもは、やたらハイになる人が多かったという。

また、身近な人が自死や自傷行為をしていたことから、心理学に興味を抱いた。そして、エスカレーター式で上がった大学では心理学の勉強に打ち込みつつ、アルバイトをして月15万円ほど稼いだ。

「臨床心理士は民間資格なのですが、大学院に行かないとほぼ取れないと思っていいです。精神科医が臨床をやって大学院に行かなくても取れるケースもありますが、ほとんどの人は大学院に2年通って臨床心理士の資格を受験できるカリキュラムを受けないといけません」

新卒で入った職場は休日も休んだ気にならず

大学院に2年通って無事臨床心理士の資格を取った琢磨さん。通常の新卒一括採用のような就活はせず、大学院でお世話になった講師の紹介で、とあるクリニックに入った。通える範囲だったので実家暮らしをしていた。

「そのクリニックでの仕事は、主にカウンセリングです。入ったときの初任給は手取り20万円くらいでした。そして、何より労働環境がよくなくて……。9時頃出勤して残業を0時頃までしても残業代はつきませんでした。休憩もほぼなくて、食事も10分ほどでかきこむ状態。あと、電話のカウンセリングもやっていたので、休日でも携帯に相談電話がかかってくるんです。例えば『死にたい』とか。だから休日も心が休まりませんし、携帯電話代も自腹でした。そのクリニックには5年間勤めましたがボーナスも出ませんでした」

その後、転職した琢磨さん。資格があるので転職はそう苦労しなかったと語る。今は、冒頭でもお伝えしたとおり、発達障害などの障害のある子どもを支援する施設で働いている。

「転職して労働面の環境はぐっとよくなりました。月の手取りが21万5000円で、たいてい残業をするので残業代がついて28万円ほど。ボーナスも2カ月分出ます。福利厚生も充実していて、今は1時間の休憩が取れるし、残業も10分単位でつけられます。年収にすると450万円です。今の職場は以前の職場のように『死にたい』という相談電話がかかってくることはないので、安心感もあります」

転職後の現在は、友人とルームシェアをしている。家賃と光熱費は折半で、1人当たり家賃は8万5000円、光熱費は1万円ほどだ。休日はライブハウスに行ったりゲームをしたり、本を読んだりして過ごしている。ただ、長期休暇が取れる雰囲気ではない。担当している面接を誰かに代わってもらわなければならず、心理的負担となるからだ。もし長期休暇が取れたら、お酒が好きなため酒蔵の見学や、海外旅行に行ってみたいとのことだった。

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