どん底、JR貨物を再生に導いた「運命の2日間」 海運、空運のプロは経営再建請負人だった
――でも、引き合いは多いのですよね?
需要が欧米並みに増える可能性はある。イギリスさえもサウザンプトン港では鉄道輸送の比率は二十数%ある。あの小さい国ですら、鉄道輸送の比率は高い。
――需要がぐんぐん増えれば、車両を増やして対応するとか……
もちろんそうなるのだが、問題が1つある。昼間は旅客列車がたくさん走っているので、貨物列車をいくらでも増やせるというわけにはいかない。もちろん路線によってはもっと増やせる余地があるし、土日はかなり余裕がある。でも東海道線などすでに過密状態の路線もあるので、現在の5%という比率をすぐに10%、20%に高めることは残念ながら難しい。
――鉄道貨物以外の事業では、東京貨物ターミナル駅に大型の物流倉庫「東京レールゲート」を建設していますね。
2棟から構成され、2020年、2022年に完成予定。東京ベイエリアで最大級の物流拠点になる。すでに鴻池運輸と賃貸借予約契約を結んでおり、メーカー、小売業、倉庫業者など引き合いは多い。
これと同じようなものを札幌、仙台、名古屋、大阪、福岡にも展開する。東京レールゲートのすぐそばに東京湾も羽田空港もある。今はレールの上だけだが、今後は船と結んでシー・アンド・レール、飛行機とも結んでレール・アンド・エアといった陸海空の総合物流業に展開していきたい。
「目標の明確化」で業績を伸ばす
――日本郵船や日本貨物航空時代の経験についても教えてください。
日本郵船では、アジア代表としてシンガポールに駐在していた時、二十数カ国に及ぶアジア各国の現地法人社長とすべて交渉した。それをまとめるとアジア全体の目標値が決まる。現地法人の社長は自分の国に帰って、部長や課長と相談して部門ごとの利益目標を決めていく。課長は課員一人ひとりの目標を決めていく。アジア全体の目標が一人ひとりの目標に落ちていくのです。外国人の社員は目標を明確化すると、競い合うように頑張って成果を出してくれる。
その後ロンドンに転勤して、今度はヨーロッパを統括したが、欧州の人たちはアジアの人たちよりもドライ。「頑張って働くからきちんとペイをくれ」ということで、ものすごく働いてくれて、業績も伸びた。本社に戻って、今度は全社の収支管理を北米、南米、オセアニアなど世界6極に移管した。世界中が一つになって頑張ってくれた。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら