どん底、JR貨物を再生に導いた「運命の2日間」

海運、空運のプロは経営再建請負人だった

提案営業も積極的に行うようになり、2017年1月にはアサヒビールとキリンビールが組んで関西の工場から北陸エリアへ鉄道コンテナによる共同輸送を開始した。従来は名古屋の工場からトラックでビールを運んでいたが、鉄道に切り替えた。

われわれにとっては鉄道貨物の利用率が低い下り路線(関西→北陸方面)の有効活用にもなる。現在はサントリー、サッポロも加わり、4社の共同輸送をそのほかの路線で行っている。とにかく提案営業を続けることで、お客様に直接提案できる会社に変わった。

黒字になったことによって、新しい投資に資金を回せるようになった。また、社員の意識改革の結果として黒字化できたわけだから、意識改革の根源である人事制度を4月から全面的に変える。今以上に働きやすくやりがいがある職場になる。

――日本の物流の主役はトラック輸送ですが、トラック輸送から鉄道コンテナ輸送に切り替えると、荷主にとってコストは安くなるのですか?

長距離輸送なら鉄道コンテナ輸送のコストは安い。鉄道輸送の強みは大量輸送。1本の貨物列車で大型の10トントラック65台分を一度に運べる。CO2排出量もトラックの11分の1で環境にもやさしい。しかも鉄道輸送は運行頻度も多い。定時運行率も94%と非常に高く、運行頻度も船と比べると高い。

トラック運転手不足が追い風に

――鉄道貨物のメリットがそれほどたくさんあるなら、もっと使われてもよいのでは?

われわれの営業努力が足りなかった。でも現在はトラックの運転手不足という問題があるので、長距離輸送の部分を鉄道に置き換えられないかという要請をトラック会社からいただいている。

――首都圏では貨物列車は深夜に出発することが多いですが、首都圏を昼間にあまり走れないことはネックになりませんか。

そういう部分はある。ただ、どのメーカーでも昼間作って夕方から夜にかけて出荷することが多い。夜中に鉄道で運んで朝到着するのでムダがない。宅配便などで昼間に運ぶ需要もあるが、圧倒的に多いのは夜間の需要だ。

――欧米では物流に占める鉄道貨物の比率が10~30%ありますが、日本は5%程度にすぎません。営業が頑張れば、日本の鉄道貨物の比率は欧米並みになりますか。

いやいや。われわれにそこまでの輸送能力はありませんよ。

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