西日本の「物流大動脈」山陽線の特殊な事情

急曲線と急勾配で貨物大量輸送に不向き

山陽線の八本松―瀬野間が急勾配のため前後の区間は貨物列車の最後尾に補助機関車を連結する(写真:T.Tsuchiya / PIXTA)

「平成30年7月豪雨」によって不通区間が生じていたJR西日本山陽線は、2018年9月30日に広島県の三原駅と白市(しらいち)駅との間の30.6kmが復旧し、列車の運転が再開された。

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この結果、JR西日本が第一種鉄道事業を実施する山陽線は神戸―下関間528.1kmを通して列車の運転が可能となっている――。と思ったら、2018年9月9日に豪雨災害から復旧したばかりの山口県の柳井駅と下松(くだまつ)駅との間27.7kmが台風24号の影響で9月30日から再度不通となり、約半月後の10月13日にようやく復旧を果たした。

重要路線なのに課題が多い山陽線

山陽線には課題が多い。多数の旅客列車、貨物列車が運転され、人や物の流れのうえで極めて重要な路線である割に線路は大変お粗末で、高速での運転や大量輸送に向かない区間が多々存在するからだ。その傾向は三原―海田市(かいたいち)間65.0kmで顕著になる。

高速での運転のためには、列車の速度に制限を課さないよう、できる限り曲線半径を緩くしたい。新幹線それも山陽新幹線以降開業のような半径4000m以上は在来線では無理ながら、JRの主要な幹線では半径600m以上というのが一応の基準値となっている。

半径600mでの制限速度は、電車やディーゼル動車が用いられる高性能列車であれば時速90km、高性能列車以外の一般列車であれば時速85kmだ。振子車両であれば制限速度はさらに向上し、たとえば名古屋―長野間の特急「しなの」に投入されているJR東海の383系特急形直流電車であればこのカーブを時速120kmで通過できる。

乗り心地や線路の保守の手間などは別として、最高速度が時速130kmの383系電車にとって半径600mの曲線はもはや直線並みと言ってよい。

山陽線三原―海田市間の場合、本線上に存在する最小曲線半径は300mだ。数も多く、筆者の計測では22カ所に達するうえ、うち半数の11カ所は急勾配区間でもある八本松(はちほんまつ)―瀬野間10.6kmに集中している。

半径300mの区間での制限速度は高性能列車で時速65km、一般列車で時速60kmにすぎない。先ほどの383系電車はさすがに時速90kmで走行可能だが、曲線区間での運転に関しては国内で最高の性能をもつ383系でさえ、最高速度の時速130kmとの速度差は時速40km分も生じてしまう。

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