JR貨物が足を引っ張る「JR北海道」の経営 貨物輸送量を平準化し道内の物流適正化を
北海道経済連合会の物流プロジェクトチーム(PT)の議論などを通じて、農産品を主体とする北海道の物流には、北海道と本州間(道外輸送)、札幌と地方間(道内輸送)のいずれにおいても、大きな季節繁閑に加え、片荷が存在することが再認識され、今後抜本的に改善すべき課題として問題提起された。
本項では、上記の物流構造を支えるJR貨物に着目して、まず、JR貨物の北海道における輸送の実態を概観する。そのうえで、JR北海道の損益構造がJR貨物との関係によってどのように変動しているのかを検討しながら、今後の両社の経営の持続性を確立するための方向についても考察を進めていく。
JR貨物の北海道における輸送の実態
JR貨物は、道外輸送において全体の約1割のシェアを有しているが、このうち、道産農産品に関しては約3割を担っている。品目別に見ると、タマネギ、カボチャの約6割、豆類、野菜類の約5割、馬鈴薯、コメ類の約4割などを運んでいる。しかしながら、その実情を見ると、繁忙期にJR貨物の取り扱う農産物平均を上回る量の5割、閑散期には同平均を下回る量の8割を受け持っている。この数字からは、JR貨物が農産品出荷の季節繁閑の相当部分を担ってきたという姿が浮かび上がる。
繁忙期の運賃も比較的安価だと言われており、JR貨物は、長年にわたり道内農産品の市場価格の安定には一定の役割を果たしてきたと評価できる。一方、設備利用の効率性は極めて低いと言え、経営面では大きな課題を抱えてきたとみられる。ちなみに、農産品以外の貨物に季節繁閑はさほどみられず、農産品が全体の季節繁閑の主要因になっていることがわかる。
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