JR貨物が足を引っ張る「JR北海道」の経営

貨物輸送量を平準化し道内の物流適正化を

道内主要駅別に見た発着貨物の状況(単位:1000トン)(筆者作成)

以上見てきたとおり、JR貨物にとって、道産農産品の道外輸送の季節繁閑、道内輸送における季節繁閑と片荷は、経営上大きな課題になっているとみられる。こうした状況を踏まえると、北海道物流の持続的な発展のためには、タマネギ列車の取組みのように、ピーク時の料金適正化などを通じて、道外輸送量のピークカットおよび平準化を進めることが最大の課題となっている。

JR貨物との関係からみたJR北海道の経営状況

JR北海道の2018年度の損益は、「単独では維持できない線区」の赤字160億円に加えて、新幹線の赤字が100億円に拡大するとみられ、営業損失は500億円近くに達すると見込まれている。

これまで、当社の業績悪化の主な要因として、高速道路の整備進捗、人口減少に加えて、金利低下による経営安定基金の運用利回りの低下があげられてきた。しかし、こうした要因に加えて、北海道新幹線まで大きな赤字要因になったということが、上記見込みの最大の注目点といえる。

本来であれば、鉄路を旅客と貨物が共存して使用していくほうが線路などの設備効率は高まると考えられるが、上記数字を検討していくと、JR貨物との関係そのものが経営悪化の要因になるという、ねじれた関係がみえてくる。

ねじれの1つは、線路使用料の問題である。分割民営化のスキームは、①本州3社による債務引受、②三島会社(JR北海道・JR四国・JR九州の総称)に対する、運用益で赤字補塡が可能となる水準の経営安定基金の設置、③線路を持たないJR貨物に対する、経営が成立する水準で選りすぐった変動費のみを線路使用料として支払うアボイダブルコスト(回避可能経費)の導入が骨格と言える。

このうち②は、政府が手厚い運用益のかさ上げ支援をしてきたものの、足元では想定の6割弱の利回りにとどまっており、スキームの一角が破綻したとさえいえる状況にある。ちなみに、筆者の試算によれば、30年間の運用利回り低下による影響は、実際にJR北海道が得た約1兆円に対して、4000億円を超えるとみられ、全体の約3割が消失したとみられる。

こうしたなかで③を履行していくことは、JR北海道にとっては、極めて重い負担となっている。実際に支払われている線路使用料(16億~17億円)に対して、国土交通省鉄道局によれば、実際の負担費用は10倍以上になっているとされており、構造的な赤字要因となっている。

また、北海道新幹線も、開業効果の剥落に加え、低速度による需要逸走、共用走行によるコスト負担などの影響が加わり、100億円水準の赤字が継続すると見込まれている。なかでも、半分を超える区間がJR貨物との共用走行区間となり、時速140kmという低速運転を余儀なくされていることが需要低迷の大きな要因と考えられる。新幹線需要はその高速性、定時性などによるところが大きいとされており、早急な対応が求められている。

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