東京の「観光地に住む」選択が意外にいい理由 住まい選びに「街」の選択が重要になってくる

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東京の観光地は「街」の価値を上げ、その結果、不動産としての価値も上げることになる(写真:まちゃー/PIXTA)
春の到来を前に、東京のどこに住もうか、悩んでいる読者も多いことだろう。この季節の場合、春から通うことになる「職場」や「学校」までの交通の便やかかる時間を軸として、住まい探しをすることが多そうだ。
しかし不動産にまつわるベストセラーを多く持つ牧野知弘氏いわく、東京で暮らすなら、あくまで「自分自身」を軸に、住む「街」をよりさまざまな角度から検討し、選ばなければならない時代がすでにやってきているという――。

東京23区間に存在する「地域差」

東京23区をつぶさに見れば地域差というものが実際に存在しています。 

1つ目が行政区による違いです。

このあたりの内容は『23区格差』(池田利道著)に詳しく論じられています。同書は東京23区の行政サービスや区民の収入や職業、学歴、医療施設や学校の状況、家賃水準など広範囲に分析し、区ごとの通信簿までつけてしまう、といった大胆な内容で話題を呼びました。

東京に存在する地域や場所による違いについて、行政区を基軸に浮かび上がらせた点がこの本の画期的なところかと思います。

2つ目が駅による違いです。

住まい選びは通勤の利便性を考えて行われる傾向が強い、ということは、働く世代にとっては自明でしょう。最近、住宅雑誌で目立つようになっているのが、「どの鉄道路線沿線に住むのがいいのか」「どの駅にアクセスできる住まいを選ぶのがいいのか」といった内容です。夫婦共働きでやっていくためには、使う鉄道路線や駅が非常に重要となるということです。それも当然だと思います。

そして3つ目が私の著書、『街間格差 オリンピック後に輝く街、くすむ街』でテーマにしている「街」です。

同書に詳しく記しているように、これから先の都内では不動産が供給過多となり、買うにしても借りるにしても、家が選び放題となります。そこに加えて起こる働き方やライフスタイルの激変により、1日の大半を過ごすことになる「街」の選択こそ、住まい選びにおいて重要になる可能性がますます高くなっていきます。

この選択では、その街が所属する行政区の各種サービスや社会インフラの充実度、住民の意識、あるいは文化や芸術といった要素までが関わります。もちろん都心を含めたほかの街とのアクセスといった交通利便性も重要となるでしょう。

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