東京の「観光地に住む」選択が意外にいい理由 住まい選びに「街」の選択が重要になってくる

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では、外国人観光客が好んで訪れる東京の観光地とはどこでしょうか。

それは例えば東京スカイツリーのある墨田区押上、江戸情緒が残る台東区浅草や上野、マニアの街・秋葉原(千代田区外神田・神田佐久間町)、すでに豊洲へ移転してしまいましたが、魚市場の見学先としての中央区築地、買い物やグルメ、夜の遊びの行き先としての銀座、六本木、新宿、渋谷、池袋といった繁華街などになるでしょう。

東京は人口の伸びこそ鈍り、年間で10万人弱程度の増加となりました。ただ、東京都の人口にも匹敵する数の外国人観光客が東京の街を訪れるようになっています。東京の街中を歩いて外国人の姿を目にする機会が増えたのは当然のことなのです。

観光要素の強い街は価値をさらに上昇させる

ではこうした東京の「観光地」に住む、ということはどのように考えればいいのでしょうか。

不動産という意味では今後、観光要素の強い東京の「街」はその価値をさらに上昇させていくと考えています。人が集まる「街」、特に外国人観光客が集まるエリアは宿泊施設のみならず、商業施設なども集結しやすく、「街」としての消費も格段に上がります。

消費が盛り上がれば、そこで働こうとする人が新たに「街」にやってくることになります。やってきた人たちが「街」に新しいお店を出し、そこに住む。彼らももちろん、地域の消費活動に加わってくれます。

これまで私たちは「働く」あるいは「稼ぐ」場所と「住む」場所を分けて考えてきましたが、働き方改革も進み、いろいろな働き方をする中で少し発想を変えてみると、住宅選びもずいぶん違った角度から考えることができるのです。

観光客と聞くと、儲かるのはホテルや旅館、あるいは商店だけで、住んでいる自分たちは関係ない、という声をよく耳にします。外国人は言葉が通じないし文化も違うから苦手、などと一方的に毛嫌いする向きもあります。

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しかし現代では、住民もこうした街の活況と関わることは可能です。

例えば、建物の1階を外国人観光客も楽しめるような雑貨店や飲食店に賃貸する。空いた部屋で民泊をして観光客を宿泊させる。外国語の勉強をして、休日には地元の観光ガイドを買って出てもいいかもしれません。

視点を変えて、観光施設で働く日本人向けにアパートや賃貸マンションを建てることも検討できるでしょう。いずれにせよ、不動産の需要は人にこそあります。観光客と接することがなくとも、人が集まる街には必ず関連需要が発生し、この需要を取り込むだけでも不動産価値を高めることが可能なのです。

そうした意味では、東京の観光要素が強い「街」で住まいを「買う」「借りる」を考える際、ただ単に「居住する」という意味合いで捉えるのは非常にもったいないようにも思います。観光客向けに「不動産を活用する」という可能性も見いだしてみてはいかがでしょうか。そしてこれから先、東京で暮らす「街」を選ぶ場合、そうした視点も持っておきたいものの1つだと私は考えています。

牧野 知弘 不動産事業プロデューサー

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まきの ともひろ / Tomohiro Makino

1959年生まれ。東京大学経済学部卒。ボストンコンサルティンググループなどを経て三井不動産に勤務。J-REIT(不動産投資信託)執行役員、運用会社代表取締役を経て独立。現在はオラガ総研代表取締役としてホテルなどの不動産プロデュース業を展開。また全国渡り鳥生活倶楽部株式会社を設立。代表取締役を兼務。著書に『不動産の未来』『負動産地獄』『空き家問題』『2030年の東京』(河合雅司氏との共著)など。

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