50代以上の親の卒婚後恋愛がかなり厄介なワケ 20代30代の子供は手放しで喜んではいけない

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そんな親の姿を見て、子どもたちはどう思っているでしょうか。子どもと言っても、高校生以上のお子さんがほとんどです。「嫌なら離婚すればいいんじゃない」という意見が圧倒的に多く、親の離婚を許容しています。元貴乃花親方の長男・優一氏も、「両親が決めたことは、僕らがとやかく言うことではないので」とコメントしていました。しかし、本当にそうでしょうか。

昨年の春、これからの時代を予感させる相談がありました。60歳の男性からです。「80代の母親は10数年前に再婚しています。ボケが始まってきたようで、介護をしなくてはならないものの、母は再婚していて少々厄介です。相続について教えてほしい」というものでした。

実際に、アラフィフで離婚を考えている人たちの多くは、「現在恋人はいないけれど、また甘い恋がしたい」と考えています。人生100年時代、50歳は人生の中間地点。見た目も気持ちもまだまだ若々しい方が近ごろ多い印象です。

一度失敗した人は、人生経験が豊富な分、心が広いからモテます。だから離婚後、再婚する人もたくさんいるでしょう。アメリカ人の知人によると、「今アメリカでは、老人ホームでの恋愛、再婚がとても多い」ようです。日本でも時々、老人の恋や性にまつわる話題がニュース等で取り上げられています。老人同士の恋愛はこれからますます増えていくことでしょう。

しかし、実は親が再婚することで、子どもたちに厄介な未来が訪れるかもしれないのです。親が若いうちは問題ないのですが、後期高齢者(75歳以上)前後となり、病気や介護が必要になったときに問題は生じます。そうなった場合、誰がどう対処していくことになるのでしょうか。当然、離婚した元夫婦が協力していくことはほとんどないはずです。その負担を子どもが強いられることは免れられないのです。

親の再婚で子ども夫婦が離婚するケースも

歌舞伎役者の市川猿翁(3代目猿之助)さんのケースも、その1つでしょう。猿翁さんは女優・浜木綿子さんとの結婚後、わずか1年で離婚。ちょうどそのとき授かったのが、俳優の香川照之さんです。香川さんは浜さんに引き取られ、45年間父子関係は断絶。しかし、時は経ち、猿翁さんの2番目の妻、藤間紫さんの尽力もあり、親子は和解。香川さんは、歌舞伎界の舞台にも立ちました。

その後、猿翁さんは脳梗塞を発症し、藤間さんに先立たれてから、一時は香川さん家族と同居をしていたといいます。しかし、父親との復縁後、今度は香川さんが21年間連れ添った妻と離婚。妻は慣れない「梨園の妻」という立場と義父の介護で追い込まれたそうです。

これは特殊な世界の出来事のように見えますが、血のつながりのない妻にとって、急に現れた義父の存在はさぞや重荷だったことでしょう。両親の離婚、再婚は、将来の負担が妻や子どもに課せられるのです。それを考えると、前記のように「両親が決めたことは僕らがとやかく言うことではないので」と、子供として両親へ寛容な態度を示すだけでは危険かもしれません。子どもたち夫婦は「親の離婚が原因」で、まさか自分たち夫婦の絆に亀裂が入るとは夢にも思わないでしょう。それが現実に起こっているのです。

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