50代以上の親の卒婚後恋愛がかなり厄介なワケ 20代30代の子供は手放しで喜んではいけない

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そして、両親が離婚後、どちらかが再婚した場合、子どもに降りかかるのが、親の新しいパートナーの介護問題です。そのパートナーに子どもがいた場合、どちらが面倒をみるのか。普段はやりとりをしなくても、連絡先を聞いておく必要があります。また、自分の親との再婚により、パートナーが元家族と絶縁状態になっていたら、その方の面倒はどうするのか。兄弟姉妹も交えて話し合いをしておく必要があるでしょう。

さらに、相続問題も発生します。夫婦の縁が切れても、親子の縁は切れません。親のパートナーの相続に関しては、養子縁組をしない限り、直接は関係ありません。しかし、もし親のパートナーが負の財産を残した場合、やがて自分が引き継がなくてはならないケースもあります。

また、父親が離婚後、新しく若い女性と再婚する可能性もあるでしょう。その後妻が子どもを産んだら、まるで自分の子どもや孫のような義弟(妹)ができるのです。よく聞く話が父親の死後、後妻から「財産放棄をしてほしい」という連絡が入ることです。遺留分がありますから、全額放棄する必要はありませんが、嫌な思いをするのは間違いないでしょう。

親が再婚する前に、遺言状だけは作ってもらうこと

親の離婚について、今は「とやかく言うことではない」のかもしれません。しかし20年後、30年後に「あの時言っておけば……」と、後悔することになりかねません。それを防いでくれるのは、やはり「遺言書」です。

2019年には、40年ぶりの相続に関わる民法大改正が行われます。正直、言いづらいでしょうが、子どもの立場で「後々もめないように、公正役場で正式な遺言書を作成してほしい」と、一言お願いしておくことはとても重要です。

また、財産分与するものがなくても、介護や葬儀についての終活部分を取り決めておく必要もあると思います。長年連れ添った夫婦から愛情たっぷりに育まれた子どもや孫なら、相続で争ったり困ったりすることはそれほど多くないと思います。しかし、家族の形や生活スタイルが変わり、寿命が延びた今、新たな家族の登場で「争族化」の可能性は高まります。

まだまだ元気な親に相続について切り出すのは世知辛いと言われるかもしれません。しかし、元気なうちだからこそ、早めにやっておくべきだと私は思います。親の老後に抱える問題に比べれば、それも「まだまし」と思う日がきっと来ます。人生100年時代、親の離婚や再婚は、このように子どもの将来を大きく左右する要素がたくさん含まれているのです。

寺門 美和子 FP、夫婦問題コンサルタント

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てらかど みわこ / Miwako Terakado

大手流通業界系のファッションビジネス経験後、夫の仕事(整体)を手伝い主にマネジメントを担当するが、離婚。「人生のやり直し」を決意、自らの経験を生かした夫婦問題カウンセラー資格取得を目指す中でFPの仕事と出合い、ダブルで資格を取得。顧客には「からだと心とおカネの幸せは三つ巴」とつねに語る。独立系のFP集団「FP相談ねっと」認定FP。相続診断士・終活カウンセラーとしても活動を始め、人生後半の「お金と暮らしと夫婦問題」のコンサルタントとして活躍中。

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