GAFAを縛る「データ保護規制はナンセンス」だ ニューヨーク大教授が語るデータ活用の極意

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――データに基づいた意思決定が進んでいる企業は?

やはり中国で言うとアリババ、アメリカではアマゾン、フェイスブック、グーグル、スナップチャットといったテックジャイアントは強い。米ベライゾンや韓国のSKテレコム、中国のチャイナモバイルといった通信会社も、通信データをマイニングし、AI(人工知能)で分析したうえで戦略をうまく策定している。

ゴーシュ氏が昨年11月に出版した『Tap スマホで買ってしまう9つの理由』(記者撮影)

テック系だけではなく、シティやアメリカンエクスプレスのような金融、デルタやエミレーツといった航空会社、米GEICO(ガイコ)のような保険会社も先進的だ。

日本でもソニーやパナソニックはこれから大きな成功ができると思う。ただ、彼らはデータサイエンティストの採用や分析環境への投資を今以上にしなければならないだろう。通信データを基にした消費者の行動履歴を分析できるNTTドコモも、すごくチャンスは大きい。LINEも、同様の事業を展開する中国・テンセントと同様に、スマートなメンバーがそろっている。

中国と韓国の消費者は憶せずデータを提供

――消費者のデータがあふれる反面、個人情報を提供することに対する懸念も叫ばれています。

世代間で感じ方の差が大きいだろう。いわゆる「ミレニアル」世代やその下の「ジェネレーションZ(GenZ)」、つまり15~44歳の世代は、企業への個人情報の提供に抵抗がない。

一方で国々の間にも差はある。中国と韓国では、個人情報の提供への抵抗がとりわけ少ない。消費者は情報を提供すると、企業も付加価値を提供してくれるという相互理解があり、関係がきちんと構築されている。

それゆえ中国と韓国では、ネット上におけるユーザーの行動データを基にしたマーケティングが、ほかの国の数年先を行っている。アメリカもこれら2つの国に比べると3年は遅れている。新しいものを取り入れようとする国民性が大きいだろう。

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