インドから上陸「不動産業界のアマゾン」の正体

敷金礼金タダ「スマホで完結」の裏にあるもの

OYO LIFEの特徴は、物件の貸し主と借り主とをつなぐ「仲介」ではなく、自ら物件を借り、それを転貸する「サブリース」を採っている点だ。実は、これが契約の電子化を達成するためのカギとなる。

これまで電子化が進まなかった理由は、不動産業界がITに及び腰というよりも、むしろ賃貸借契約が法律でがんじがらめに規制されているためだった。宅地建物取引業法(宅建業法)は物件概要や契約条件などが記載されている「重要事項説明書(重説)」について、専門の資格を有した宅地建物取引士が対面で説明しなければならないと規定しており、これが電子化を阻む要因となっていた。

2017年10月よりテレビ電話などを介した「IT重説」が解禁され、説明を聞くためだけに来店する必要はなくなった。それでも契約成立時には書面を交付しなければならず、手続きの完全なペーパーレスには障壁が残っていた。

だが、これはあくまで「仲介」の場合だ。物件の貸し主が直接借り主とやりとりする場合には、宅建業法の射程外となり重説の必要はない。自ら貸し主となるサブリースはこれに当たる。すでにアパートのサブリースを展開するレオパレス21が「貸し主」としての立場を生かして、2015年11月より直営店で契約の電子化を進めているが、OYO LIFEもこの空隙を突いた。

賃貸はあくまで入口にすぎない?

OYO LIFEにとってもう一つの売りである「敷金・礼金・仲介手数料無料」は、収益源を契約後に求めることで実現した。家具家電が設置済みでWi-Fiも完備とはいえ、OYO LIFEが展開する物件の家賃水準は周辺相場よりもやや強気だ。品川区内のあるマンションでは、およそ10万円弱で賃貸に出されている物件を、12万円強で貸している。

OYO LIFEの勝瀬博則CEOは「ホテルのように賃貸住宅の手続きを簡便にしたい」と語る(撮影:今井康一)

「(敷金・礼金・仲介手数料・引っ越し代金などがある場合と比べて)18ヵ月まではOYO LIFEで住んだ方が安くなる水準」(勝瀬CEO)が家賃設定の目安だといい、イニシャルコストをなくした分、ランニングコストで回収する設計となっている。

とはいえ、単なる賃貸住宅のサブリースにとどまれば、既存の業者との競争に巻きこまれてしまう。今後のビジネス展開についてはOYO LIFE、そして出資者であるヤフーもともに「検討中」とするものの、賃貸事業はあくまで入口にすぎないと推測される。そして、仲介でなく「貸し主」としての立場は、賃貸事業を超えたポテンシャルを秘めている。

なぜなら、入居者の属性に関するデータを保有することで、それに基づいたさまざまなサービス提供が可能になるためだ。企業とタイアップをして、年代や趣向、生活スタイルに当てはまる入居者へのアンケートや製品サンプル、また家具家電のモニター利用といったサービスが挙げられる。ファミリーや高齢者といった、一定の属性の入居者が集まれば、子育てや高齢者介護などのサービスを付加価値として提供する余地も生まれる。

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