日本はすでに景気後退局面に入っている

「アベノミクスで戦後最長景気」は不発に

もっとも、景気循環の最終判断はCI一致指数の動きだけで決まるわけではない。最終判断は景気動向指数研究会(内閣府経済社会総合研究所長の研究会)においてCI一致指数の精査とともに、「Bry-Boschan法」を用いた景気の波及の程度を示す「ヒストリカルDI」によってさまざまな角度から検証が行なわれ、事後的に判断されることとなっている。研究会はこれらの手法を基に、景気拡張/後退の判断基準となる「3つのD」(景気の波及度=Diffusion、景気の量的な変化=Depth、景気悪化の期間=Duration)に照らして判断をする。

仮に2018年10月が景気の「山」と判断された場合、2012年11月の景気の「谷」以降の景気拡張局面は71カ月で終わることになり、1月の月例経済報告発表の際に茂木敏充経済再生担当相が述べた「(今回の景気拡大は)戦後最長になったとみられる」は実現しないことになる。

2017年4月が消費増税のチャンスだった

むろん、景気循環の判断は象徴的なもので、それ自体が実体経済を変化させるものではない。しかし、参院選を控える中でアベノミクスの現状評価は重要な論点であり、消費税率引き上げの再々延期を含めた政策運営の議論には少なからず影響するだろう。今となっては2017年4月に上げておくべきだった、との声も聞こえてきそうだ。

今回の第16循環の景気拡張局面では、いくつかの小さな景気の「山」を付けてきたが、実は2014年3月が景気の「山」と設定されなかったことは「きわどい判断」だったとみられている。内閣府は2017年6月15日に第17回景気動向指数研究会を開催し、消費税増税前にあたる2014年3月に景気の「山」が設定されるかが焦点となったが、景気の「山」認定はされなかった。したがって、今回(2018年10月)が景気の「山」と設定されるための一つの基準は2014年3月よりも明確な「山」となるかどうかだろう。

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