NYが「髪型差別禁止」に踏み切った納得の事情

実は不快な思いをしている黒人は少なくない

ニューヨーク市はこのほど、髪の質やスタイルを理由にした嫌がらせや脅迫などを禁じるガイドラインを定めた(写真:Benjamin Norman/The New York Times)

ニューヨーク市人権委員会は2月、職場や学校、公共施設で髪やヘアスタイルによる人種差別を禁じる新たなガイドラインを発表した。

ガイドラインは市内のすべての人が対象だが、アフリカ系アメリカ人の待遇改善を目指している。ニューヨーカーの「地毛と、ロックやコーンロウ、ツイスト、ブレイド、バントゥノット、フェード、アフロなどのヘアスタイル」を維持する権利と、「髪を切らないもしくは処置をしない権利」について明確に言及している。

髪の質やスタイルの差別に法的措置

このガイドラインは、髪の質やスタイルを理由に嫌がらせや脅迫、処罰を受けたり、降格・解雇させられたりしてきた人々が法的措置をできるようにするものだ。違反者には最高25万ドル(約2800万円)の罰金が科せられ、被害者への損害賠償の上限は設けられていない。人権委員会は、違反した組織に対し内部規定の変更や再雇用を命じることもできる。

ガイドライン制定のきっかけの1つは、ブロンクスにある医療機関と非営利組織、アッパーイーストサイドのヘアサロン、クイーンズのレストランで働く従業員らから申し立てがあり、調査が実施されたことだ(ガイドラインでは、健康や安全上の理由で髪を結ぶかヘアネットの着用を求めることについては、規則がすべての人を対象としている限り禁止していない)。

アメリカ初とみられるこの指針は、髪は人種と結びついており(そして「人種的、民族的、文化的アイデンティティー」と密接に関係している)、そのため人種、性別、国籍、宗教、その他保護対象となる属性による差別を禁じる市の人権委員会の規制によって保護されるという考えに基づいている。

連邦裁判所が髪の保護を認めたケースはこれまでない。昨春には、黒人女性のチャスティティ・ジョーンズが2010年にドレッドロックを切るのを拒否したためにアラバマ州の保険会社から採用を取り消されたことについて、全米黒人地位向上協会(NAACP)法的弁護教育基金が再審を求めたが、最高裁は棄却した。

ニューヨークの人権委員会は国内でも進歩的として知られ、雇用から住宅供給、妊娠、婚姻関係に至るまで、連邦法よりも幅広い分野の差別を認定している。委員会の法的執行部門は調査を実施するほか、証人の召喚や違反者に対する訴追の権限も持つ。

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