NYが「髪型差別禁止」に踏み切った納得の事情 実は不快な思いをしている黒人は少なくない
同委員会のカーメリン・P. マラリス委員長は「黒人に密接に関係する自然な髪やヘアスタイルを禁止する指針」は「人種差別的な外見の基準に基づいている」と指摘。「黒人のヘアスタイルは職業倫理に反するとか不適切だという人種差別的なステレオタイプ」を生むと話す。
髪が生活に大なり小なり影響してきたと話す黒人の男女はニューヨークでは珍しくない。同僚からあからさまな発言を浴びせられた人もいれば、「よりプロフェッショナルな」外見にしなければ解雇すると告げられた人もいる。
上司に「ストレートのほうがいい」と言われる
マンハッタンの裁判所の管理部門で働いているアベリー(39)は、職場で自分の髪について何か言われるのは「毎日」のことだ。肩の長さで栗色の彼女のブレイドヘアについて、白人の上司はストレートにするよう勧めるという。「上司からは『髪を整えるべき』とか『ストレートのほうがいい』と言われる」とアベリー。その上司は、髪の色は黒しか認めないという。
エニ(21)は、マンハッタンのウェンディーズでレジ係をしていたが、半年前にマネジャーから35センチほどの長さのヘアエクステンションを切るよう言われ、仕事を辞めた。「辞めたのは、私の髪が長すぎるなんて誰にも言う権利はないから。でも、私とは違う人種の女性たちは髪を切るよう求められない」と、現在は病院に勤務するエニは打ち明けた。
ヘアスタイルを理由に職場で不当な扱いを受けていた人々はこれまでにもいた。米軍の現役兵の約18%は黒人だが、軍がブラックカルチャーに関連するヘアスタイルの禁止を解除したのはここ数年のことだ。海軍は2015年にブレイド、ツイスト、ロックを条件付きで認め、陸軍も2017年にドレッドロックを解禁した。
労働および雇用に関する法律が専門のニューヨーク市立大学法科大学院のチョウムトリ・ハク准教授は、ジョージア州の知事候補になったステイシー・エイブラムスやマサチューセッツ州選出のアヤンナ・プレスリー下院議員といった黒人政治家が注目を集めるにつれ、世間の捉え方は変化するだろうと指摘する。