アメリカ経済は日本が目指すべき手本なのか 「高い成長率」と「雇用の安定」はトレードオフ

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ここには、高い経済成長率を実現することと、大量の失業者が発生することを防止するという2つの目的のトレードオフがあるように見える。

1人当たり実質GDPの伸びはあまり違わない

日本が景気悪化にも関わらず失業率の上がらない構造であることによる損失はどの程度だろうか。

日本は少子高齢化が進んで人口増加が止まり、2000年代に入ると減少し始めたが、アメリカは移民によって人口増加が続いている。実質GDPの伸びはこうした人口要因も反映しているので、比較する際には人口要因を取り除く必要がある。また、1990年頃は日本経済がバブルの絶頂期だったので、実力以上に実質GDPの水準が高まっていた可能性についての調整も必要だ。

こうした点を考慮して、指標として1人当たり実質GDPをとり、少し恣意的になるが2000年を基準にして一定の時間の変化を比較すると、両者の経済パフォーマンスには、実質GDPで見たほどの大きな差は見られない。

もちろん、日本の1人当たりGDPの伸びがわずかにアメリカより低いということが長期に続くと、影響は累積して差が拡大して行ってしまうので、まったく問題がないわけではない。しかし、成長率の格差を解消するためにどの程度のことをするのかは、大量の失業者の発生を防止するという政策目標をどの程度犠牲にしてもよいのかという問題にも関わってくる。

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