シングルマザーへの偏見が建設的でない理由

データを見ればやるべきことは決まっている

厚生労働省が発表した「平成28年度 全国ひとり親世帯等調査」によれば、親が非正規雇用の割合は母子世帯が43.8%に対し、父子世帯だと6.4%だけである。当然、この就業形態は世帯収入の格差に直結する。母親自身の平均年間就労収入が200万円なのに対し、父自身の平均年間就労収入は398万円と約2倍の差がある。

このような男女間における雇用形態の違いによる収入格差を埋めるために、養育費があるわけだ。

しかし、同資料によれば、毎月養育費を支払われている(または支払われたことがある)世帯のうち、決められた養育費の平均額は、母子世帯で月額4万3707円にすぎない。しかも、養育費の支払い額の取り決めを文書でしている母子世帯は全体の42.9%と半分にも満たないのだ。そのうえ、養育費が支払われない場合に支払い義務がある者の資産を法的に差し押さえられる「強制執行認諾条項付き公正証書」を所持しているのは、25%と全体のわずか4分の1である。

その結果、シングルマザーの56%は、一度も養育費を支払われたことがない。また、15.5%が一時的に養育費を支払われていたものの、あるときから支払いが途切れたままになっているという。

シングルマザーに関する記事は偏見に満ちている

どのようなテーマで記事を書いても、ポジティブな反応とネガティブな反応の両方が寄せられるものだ。大まかに言って、シングルマザーの貧困の記事は、主に2つに分けられる。そのうちの1つのタイプは当事者が書いているか、当事者に同情的な立場の人が書いている記事だ。このタイプの記事には、2種類の反応が見られるという。

まずは、当事者など書き手に近い人たちから寄せられるポジティブな反応だ。こうした人々は記事に対して、「シングルマザーは大変だけど頑張っている」といったコメントをしている。一方、こうした問題と無関係な人たちは、当事者に対して「あなたに責任がある」「子どもが可哀想だ」というネガティブなコメントを残している。この2つの反応は、ともに同性から向けられることが多いようで、あまり男性は反応しないという。

もう1つのタイプの記事は、シングルマザーの現状をネタにしているような記事だ。

例えば、生活苦のシングルマザーは、子どもを預けて時給の高い水商売をしているというような内容である。この類の記事には両性から反応が見られる。記事内で用いられる偏りのある誤った情報に対して無神経なコメントを残していく人たちと、それを読んで不快な思いをする当事者たちという構図である。

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