シングルマザーへの偏見が建設的でない理由 データを見ればやるべきことは決まっている

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しかし、1人で育児もしなくてはいけないシングルマザーがこのような働き方をするのは極めて難しい。午前9時にオフィスに行くとすると、午前6時には起きて子どものお弁当や着替えの準備をし、朝食を作り、その後、保育園や幼稚園に送りにいくことになる。そして、満員電車に揺られオフィスに向かう。お迎えを考えれば、正社員とはいえ、時短勤務の制度を使う必要があり、結果的には通常の正社員より収入は低くなり、当然ながら業務後の付き合いには参加しづらく、それが将来のキャリアに響いてくるのだ。

このような現状を打開するには、完全なフレックス制度やリモートワーク、そして副業(複業)を多くの企業で認めることだ。

ネットに接続できれば、毎日同僚と机を並べなくても仕事ができる時代だからだ。スキルや知識、経験があれば、自宅にいながら育児にウェイトを置きつつ、収入を確保できる。そのための環境整備を会社側が用意することが非常に重要であろう。逆にこれを実現させている会社であれば、優秀な人材を採用しやすくなるはずだ。

ダラダラ働くことが結果につながらないのは明白

貧困に苦しんでいるシングルマザーの中には、子どもが生まれる前は証券会社や商社で働いており、ファイナンスの知識やネイティブレベルの英語力を持つ人もいる。

しかし、能力が高かったとしても、子どものお迎えによる時短勤務や、子どもの急病による欠勤などを嫌がられ、なかなか正社員として採用してもらえないという。本当は能力があっても、旧態依然とした今の会社環境では能力を発揮できずにいる女性は思っている以上に多いだろう。国が主導する働き方改革によって、時間で縛る仕事のやり方はもはや古い遺物になりつつある。

しかし、それでも、日本では「長く働いている人間こそが評価される」という考えがいまだに根強い。しかし、ダラダラ会社にいることが成果につながるとは言いがたいのは言わずもがなだろう。

「シングルマザーなんて、一部の人の問題だ」などと切り捨てるのではなく、日本の社会全体が、いかに彼女たちの能力を生かせる環境をつくることができるかが、わが国の生産性の向上につながると考えている。

こうした環境づくりは、国や本人たちだけでなく、優秀な社員を確保できる会社にとっても、いいことずくめではないだろうか。国を挙げて解消策の実現に経営資源を割き、早急に現況が改善されることに強く望みたい。

森永 康平 マネネCEO/経済アナリスト

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もりなが こうへい / Kohei Morinaga

証券会社や運用会社にてアナリスト、エコノミストとしてリサーチ業務に従事した後、複数金融機関にて外国株式事業やラップ運用事業を立ち上げる。業務範囲は海外に広がり、インドネシア、台湾、マレーシアなどアジア各国にて新規事業の立ち上げや法人設立を経験し、各法人のCEOおよび取締役を歴任。現在は法律事務所の顧問や、複数のベンチャー企業のCFOも兼任している。日本証券アナリスト協会検定会員。株式会社マネネTwitter

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