「産後クライシスを回避せよ」にご用心! このままでは誰も幸せになれない!

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産後クライシスという言葉の落とし穴

以上の長い前提を踏まえ、まず男性に聞きたい。
「ちゃんと育児や家事をやってくれなかったら、あなたを愛するのをやめるからね」と言われたら、どんな気持ちになるだろうか。

“脅し”と受け取るだろう。少なくとも前向きな気持ちにはなれないだろう。

妻が夫に対して肯定的感情を抱きにくくなるのは産後すぐである。正直、まだ父親としての実感も湧いてきていないタイミングで、“脅し”の文脈で育児や家事を迫られれば、「子どものために」「妻のために」という純粋な動機はたちまち摘み取られてしまう。代わりに、育児や家事に対して「やらされるもの」というネガティブなイメージを刷り込まれることになるだろう。

次に女性に聞きたい。
 「あなたは、“産後クライシスによる夫婦関係の破綻を回避する”ために、夫が育児をすることを本当にうれしいと思うだろうか?」

いつから育児は、産後クライシスを回避するために“しょうがなく”行うものになったのだろうか。子どもがかわいいから子育てをするのではないだろうか。妻のことを愛しているから、家事も頑張ろうと思うのではないだろうか。

育児も家事も妻に押し付けっぱなしという夫が多いことは、私もよく知っている。そのような男性をかばう気はない。しかしだからといって、「産後クライシスによる夫婦関係の破綻」を“脅し”として利用して、育児や家事をやらせたところで、妻だって満足は得られないだろう。

実際、産後クライシスに突入してしまった夫婦の夫が、ちょっと家事や育児を手伝ったところで、妻にはほとんど理解してもらえない。「やってやっても妻の機嫌はよくならない」ともらす夫も多い。実は、産後クライシスをこじらせてしまう夫に共通しているのは、育児や家事をしていないことではなく、「母親としての妻を、父親としてサポートする」という意識になってしまっていることなのだ。妻を一人の女性として見ることを忘れているのだ。

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