真に機能する、在宅勤務制度のツボ NTTコミュニケーションズのテレワークの実際
そのため、出張先からメールのやり取りや、事務処理をするといったことができるシステムをすでに構築していた。つまり、新たに環境を整える必要はなく、対象者やルールなど、制度の中身をどうすればいいかということでのトライアルだった。
STEP1では対象業務を自己完結、創造・集中的なものとして企画・開発に限定、STEP2ではさらに営業、SEを加えて試行した。接続方法は、社内PCを持ち出してICカード認証にて接続とした。
通勤時間を育児や介護に充てる
──トライアルを踏まえての導入となったわけですね。では、制度の中身について教えてください。
結果的には、職種は限定せず、育児・介護事由のある者で、eワークで実施する業務は自己完結的で成果物の明確な業務に限定するということになった。育児・介護事由のある者にしたのは、当時、柔軟な働き方を最も必要としていたのが彼らだったからだ。
育児事由の場合は小学6年生以下の子がいる社員、介護事由の場合は2週間以上にわたり常時介護を必要する家族がいる社員で、どちらも、女性でも男性でも利用できる。2011年から課長以上の管理者も対象にした。
週2回を限度に、事前に上長の承認を受けて利用する。育児の場合は子供を保育園に預けたり、介護の場合はデイサービスを利用するなどして、自宅で集中して業務を行える環境を整えることも条件だ。
──自宅で、仕事をしながら育児や介護もするというということではないわけですね。となると、利用者にとってはどの辺りがメリットになるのでしょうか。実際にどのような形で利用されているのでしょうか。
この制度の狙いは、通勤に要する時間を活用できるようにするという点にある。通勤時間をゼロにし、その時間を育児や介護に充ててもらったり、それによって本人の体力的負担を軽減してもらったりするのが狙いだ。
もちろん通勤に要する時間は人によって違うが、日々、育児や介護をしている人にとっては貴重な時間だ。たとえば、往復2時間かかるとすると、これはかなり大きい。保育園の送り迎えに使ったり、子供がアレルギーで皮膚科に連れていかなくてはならないのだが、会社から帰る頃には病院が閉まっているため、その日はeワークをするなど、利用方法はさまざまだ。
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