投資家は「上海総合指数」を重視してはいけない

中国の株式市場の実態を知らないと損をする

実際、1990年代~2000年代、中国の実質GDP成長率が2桁の高成長を続けていたにもかかわらず、北京オリンピック開催直前のバブル相場を除いて、上海株の上昇局面はほとんど続かなかった。上海株と中国景気の相関がないとは言い切れない。だが、少なくとも、経済の鏡としての役割が果たされていないことは指摘したい。ではなぜ中国では実体経済と株式市場の間で乖離が生じるのだろうか。

その理由の1つは、「性悪説」で説明できるだろう。日本では、上場企業は優良企業の代名詞であり、上場企業の社員も社会的地位が高いのが一般的だ。しかし、中国では上場企業の存在感は決して高いとは言えない。

独占的な地位を得ている大型の国有企業の存在感が大きいことが1つ目の理由だが、もう1つの理由は、株式上場を「タダで資金を手に入れる千載一遇のチャンスだ」と捉えている企業が、あまりにも多すぎることが挙げられる。

上場しても、魂は国有企業のまま

これが、いわゆる上海市場の「性悪説」である。中国政府が1990年に上海証券取引所を復活させた背景には、株式制度の導入によって、行き詰まった国有企業改革を加速させる意図があった。確かに、数多くの国有企業が株式制度を導入し、少なくとも制度設計上は、アメリカや日本の上場企業に比べても遜色ない立派な株式会社に「変身」した。

しかし、株式制度という、外見は西洋式のスーツに着替えても、魂は人民服を着た国有企業のままだった企業は少なくない。なかには、銀行から融資を断られた“負け組”の国有企業が財務諸表を粉飾し、地方政府の協力で上場を果たした例すらあった。

現在、上海市場にはこうした数多くの「ゾンビ企業」が生き残っているが、そのほとんどは1990年代当初、株式制度の導入に便乗して上場を果たしたものだ。これらの企業が本当に上場企業としての役割を果たしているのか。経営から財務状況まで誰よりも理解しているのは、おそらく従業員や地元の人たちだろう。個人投資家が大半を占めている中国では、身近にある上場企業に対する不信感が強く、証券市場の低迷につながっていると考えられる。

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