投資家は「上海総合指数」を重視してはいけない 中国の株式市場の実態を知らないと損をする
このように、日本の投資家が気にする上海総合指数は、中国の上場企業の本当の姿を反映しておらず、むしろオールドエコノミーや劣等生企業の鏡となっている可能性がある。
今後、中国が過剰生産能力やゾンビ企業の淘汰を加速すれば、より多くの上場企業が受難の時代に突入するだろう。それでも、上海総合指数の動きに一喜一憂すれば、日本の投資家の目線も「劣等生」と同じものになってしまう。だから、筆者は上海総合指数に基づいて中国経済を判断するのは時代遅れだと言い続けてきた。
上海総合指数へのこだわりを断ち切れ
最後に、1つのエピソードを紹介しよう。現在、中国で約10億人が使っている人気SNS「We chat」を提供しているテンセントは2004年に香港上場を果たした。記憶ではIPO(新規株式公開)価格は3~4香港ドルで、証券系シンクタンクの香港現地法人に駐在していた筆者は営業やアナリストらと一緒に、東京の機関投資家にテンセント株を推奨していた。
当時、ほとんどの資産運用者から聞かれたのは、国有企業改革や不良債権処理、不動産バブルといった質問で、テンセントという会社のビジネスモデルや成長性にほとんど興味を示さなかった。しかし、その後の同社の株価上昇や事業の成長を予見できた投資家がはたしてどれだけいたのか、疑問だ。
念のために筆者はテンセント株を推奨する意図はまったくないと断っておくが、現在でも中国経済について当時と同じような質問をしてくる投資家が少なくない。上海総合指数へのこだわりを断ち切らなければ、次のテンセントを見逃す二の舞いを演じかねない。
中国経済も中国企業も大きな変革期を迎えている今、海外で上場している中国株や創業版、まもなく登場する科創板(中国版ナスダック)などから、数多くのニューエコノミー企業が登場してくるはずだ。上海株をあまり気にせず、より多くのアンテナを立てたほうが日本株の投資判断にも役立つといえよう。
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