登校でじんましんが出る息子が見つけた居場所 その子にあう場所はきっとある

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こんなに嫌がっているのだから、このまま家に連れて帰ったほうがいいのかもしれない。心のなかで、そう葛藤するのですが、登校時間がすぎて正門が閉まっても、こう着状態が続きます。

すると職員口からかならず副校長先生が出てきて「大丈夫ですから」と言いながら、「行きたくない」と泣き叫ぶチー坊を抱きかかえ、教室に連れて行きます。私は必死に抵抗するチー坊の姿を胸を痛めながら見送っていました。

チー坊の学校では5月に運動会がありました。先生方も「参加させてあげたい」と、一生懸命に力を尽くしてくださいましたが、運動会はチー坊にとって鬼門だったようです。運動会の日が近づくにつれ、夜になると、じんましんが出るようになりました。

じんましんはSOSのサイン

最初は「疲れたのかな」と思い、じんましんが出た翌日は学校を休ませていました。そんなことをくり返していたある日、じんましんが出るのは、決まって学校へ行った日だということに気づきました。これはSOSなのかもしれない……。チー坊の体にSOSが出たことから、夫婦で話し合いを始めました。

赤沼千里さんと生後7カ月ごろの長男。現在は8歳(写真:不登校新聞より転載)

運動会の当日、チー坊は友だちにちょっかいを出して、先生からみんなの前で叱責されていました。好きなプールがある日なら学校に行けるかもしれない。そう思って出席したものの、聴覚過敏があるチー坊は、真横で鳴ったホイッスルの音が嫌で耳をふさぎ、またも先生から叱られました。

チー坊は、みんなと一緒の行動ができない。授業がかんたんすぎてつまらない。知っている字なのに10回も書かないといけない理由がわからなくて、ドリルに取り組まない。学校になじめない理由はたくさんありました。

夫は学校へ行かない選択があってもいいというスタンスで「子どもの意見にも耳を傾けて、子どもの気持ちを大事にしたほうがいい」という意見です。

保育園時代にお世話になった先生に相談すると「合わない場所にいるのは、本人にとっては、はてしなく長い時間だから、大人が思っている以上につらいはず。すぐには見つからないかもしれないけれど、チー坊に合う居場所がかならずあるはずよ」とアドバイスしてくれました。

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