社員67人、「テレビ埼玉」のクセがすごい! あふれる地元愛で埼玉県民が「テレ玉」の虜に

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驚きの企画を連発するテレ玉だが、経営面の課題もある。ここ数年、売上高は42~43億円前後で推移し、営業利益も1億~2億円で推移している。現在は全番組の3割、収入の4割をテレビ通販が占めているが、これがいつまでも続く保証はない。新たな視聴者を獲得して広告収入を増やさなくては、今後の経営は厳しい。

全国の独立局と共同番組を制作するなど、少ない予算をカバーし、キー局と張り合えるコンテンツの調達を進めている。各局が出資する製作委員会方式とすることで、DVD販売やネット動画配信も含めて収益を回収する考えだ。また、自社でも「いろはに千鳥」に次ぐヒットバラエティー番組の創出を虎視眈々と狙っている。

ただし、テレ玉は放送だけで収入を伸ばす考えではないようだ。卓球Tリーグの公式映像を制作したり、サッカーJ3のザスパクサツ群馬の映像制作も手がけている。これは制作会社としての収入拡大戦略だ。さらに、小規模ではあるが、本社で俳句や麻雀教室といった新事業も始めている。地元におけるテレ玉の知名度を生かし、放送以外の事業も模索していく考えだ。

40年間の集大成は埼玉の魅力掘り起こし

そうした中でも、地域情報の発信について手を抜くことはない。平本社長は「地域の情報発信は採算にかかわらず、絶対にやっていかなくてはならない。防災情報や災害時の報道などもローカル局としての重要な役目だ」と力を込める。

平本社長は埼玉出身で埼玉大学を卒業した生粋の埼玉県民。大学時代からテレ玉の開局準備室で立ち上げの準備を担当し、40年の歴史をその目で見てきた初のプロパー社長だ(記者撮影)

テレ玉は今年4月に開局40周年を迎える。記念企画としてスタートするのは、県内63の市町村を約2年かけてすべてまわり、生中継していく「ご当地中継63」。各自治体の関係者とも連携し、40年間の集大成として、埼玉県の魅力を全力で掘り起こす覚悟だ。

テレビを眺めるだけの遠い存在ではなく、あの手この手で視聴者にとって身近なもの、参加するものに変えようとしているテレビ埼玉。全国的にテレビの苦戦が騒がれる中でも、あふれる地元愛を武器に埼玉県民を虜にすることができるのか。ローカル局ならではの挑戦は、これからも続く。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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