社員67人、「テレビ埼玉」のクセがすごい! あふれる地元愛で埼玉県民が「テレ玉」の虜に
バックダンサーも注目ポイント。社長のパフォーマンスを見守りながら、ステージ上で静かに左右に揺れ続ける社員。練習不足か、ぎこちないダンスを披露する社員の姿もある。振り付けもおぼつかない子どももよくみられる。ただし、6年連続で司会を務める元NHKの堀尾正明アナウンサーは慣れたものだ。歌い手だけでなく、バックダンサーにも「ちゃんと踊れた?」などと優しくツッコミを入れ、会場を盛り上げる。そんなアットホームな光景が、余すところなくテレビに映し出される。
あまりの大胆さに注目を浴び、近年はネット上でも人気が沸騰している。Twitterの世界トレンドランキングで上位に食い込むようになり、今年も6位を記録した。日本を飛び越えて、海外のネットユーザーにも知られている。今年はNTTドコモの動画配信サービス「dTVチャンネル」でも配信されるなど、国内でも注目度は高まっている。埼玉の奇祭が名実ともに全国区となる日は近いのかもしれない。
地獄の8本撮りの人気番組「クセがすごい!」
全国的な人気を誇るバラエティーもある。人気お笑いコンビ「千鳥」(大悟・ノブ)の冠番組「いろはに千鳥」だ。埼玉に縁もゆかりもない二人が街をぶらつき、おいしいものやお店、工場など、さまざまなものを体験する「街ブラトークバラエティー」である。
テレ玉の社内の企画募集がきっかけとなり、2014年にスタートした。ロケ内容をもとにかるたを作るので「いろはに」と名付けられたが、初回放送時、番組名を聞かされた千鳥はすかさず「ダサい!」とツッコんだという。
その特徴はとにかく低予算であることだ。30分番組だが、2カ月間、合計8回分の収録を1日で終える、過酷な「8本撮り」で知られている。これはキー局どころか、地方局でもありえない地獄のスケジュール。そのため、ロケは早朝から深夜までぶっ続けで行われることもある。1日で数カ所を効率的に回るため、取材先の選定やスケジュール調整はもちろん、出演者やスタッフの体力、気力、根性が試される。テレ玉も低予算を売りにしており、千鳥も番組の冒頭から「これで収録が終わりではないんじゃ……」などと、つねにグチをこぼしている。
この番組がコンビの魅力をうまく引き出した点は、視聴者から高く評価されてきた。乱暴な口調やグチも飛び出すゆるい雰囲気の中であっても、2人は登場人物やお店、商品などに面白いポイントを見つけ、次々とツッコミを入れ、トークを展開させていく。一方で、歩きながら、収録とはまったく関係のない雑談トークを繰り広げることもある。収録が進むと疲労が蓄積し、2人のテンションは見るからに下がっていくが、そんな様子すら、番組の重要な魅力になっている。
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