「スープラ」「カローラ」に感じるトヨタ車の異変 欠かすことのできない販売会社との協力関係
トヨタではメーカー資本に頼らない地場資本の販売会社が多く、系列まで撤廃するのは、今のところ4系列すべてがメーカーの直営会社になる東京地区だけだ(2019年4月1日に、4系列は「トヨタモビリティ東京」に統合されて看板なども共通化される)。それでも全店が全車を扱えば、たとえ4系列の区分があっても、形骸化して売れ筋車種が偏る。
この状態が続くと車種が減らされ、系列の異なる店舗が隣接する地域では、競争の激化もあって店舗数が減っていく。「全店で全車を扱えば、お客様にとって親切」というのは詭弁で、いちばんのメリットは店舗を削減しやすいことだ。
販売会社の協力が不可欠
取り扱い車種が系列化されていると、店舗を減らせばその地域に供給できない車種が生じるが、全店が全車を扱えば周囲の店舗で補えるから問題は生じない。そもそも「全店で全車を扱えば親切」といったら、特定の車種の販売に専念できる系列を築いたトヨタの先輩方に失礼だ。
このように車種の数から店舗数まで「日本のトヨタ」が小さくなっていく。その一方で、モーター駆動による電動化、自動運転、コネクティッド(通信機能)などを推進するのがトヨタの方針だが、日本のユーザーにもたらすメリットが見えにくい。
このときに大切な役割を果たすのが販売会社だ。日常的にユーザーから、さまざまな意見を聞いている。その意思を尊重してほしい。
過去を振り返れば、トヨタが世界の大規模メーカーに成長できたのも、対等な立場で強い販売力を発揮する地場資本の販売会社があったからだ。責任を持って売る代わりに、商品に対する注文も厳しく、トヨタ車の成長を促した。これから厳しい時代を乗り越えるときも、販売会社との協力が不可欠だ。
メーカーから見たお客様は、販売会社の向こう側にいる。この位置関係は、いつの時代でも変わらない。
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