「スープラ」「カローラ」に感じるトヨタ車の異変 欠かすことのできない販売会社との協力関係

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

以前、トヨタの開発者から「姉妹車のプレミオとアリオンを造り分けるのは、メーカーではなく販売会社の意向に基づく。プレミオの前身はコロナで、アリオンの前身となるカリーナよりも上級だったから、プレミオを扱うトヨペット店は価格が高まっても内外装を豪華にしてほしいという。ただし両車を造り分けるのは、開発と生産の両面で手間とコストを要する」という話を聞いた。

このようにプレミオ&アリオン、アルファード&ヴェルファイア、ヴォクシー/ノア/エスクァイアといった姉妹車を廃止して、全店が全車を扱う体制に移行するのは、販売会社ではなくメーカーの都合に基づく。

そしてユーザーとの距離が近いのは販売会社だから、メーカーの都合で話が進めば、ユーザーにとって不利益が生じることも考えられる。

車種の半減はその典型だろう。アルファードとヴェルファイアは機能的には同じクルマだが、フロントマスクの雰囲気はかなり違う。選べる自由を奪われるのは、ユーザーにとってデメリットになる。

マークXは今では発売から9年以上を経過して古さを感じるが、全幅が1800mmを下まわる後輪駆動セダンだから、クルマ好きには貴重な存在だ。クラウンと共通のプラットフォームを使ってフルモデルチェンジすれば、BMW3シリーズと勝負できるスポーティーなセダンに成長したかもしれない。新しいBMW3シリーズのセダンは、全幅を従来の1800mmから1825mmへ拡幅したから、マークXのサイズはいっそう際立つ。

売れ筋車種が低価格化

そして今はクルマの価格が上昇傾向にあるから、全店が全車を扱えば、コンパクトな車種が販売比率を増やして高価格車は売れ行きを下げる。

この成り行きは、ほかのメーカーが証明している。日産やホンダも以前は販売系列があり、それぞれ専売車種を売っていた。この系列を撤廃して全店が全車を扱うようになると、商品開発の影響もあり、売れ行きに偏りが生じた。

例えば日産は、ノート/セレナ/デイズ&デイズルークスだけで、2018年(暦年)に売られた日産車の61%を占める。スカイラインの売れ行きは、最盛期(1973年)のわずか1.6%まで落ち込んだ。

ホンダでは軽自動車のN-BOXだけで、ホンダ全車の32%に達する。N-WGNなども含めた軽自動車が占める割合は49%だ。販売系列を撤廃すると、水が上から下へ流れるように、売れ筋車種が低価格化した。

次ページ大切な役割を果たすのは「販売店」
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事