AI時代を生き抜く教育のカギとなる「読解力」 板橋区から見えた、学校現場「変化」の兆し
この授業について校長はこういいます。
「いままでは教科書が読めていることを前提にして、授業を行ってきた。いまは教科書を本当に理解しているのかというのを突き詰めながら、授業をするようにしている」
授業を見た新井さんは、高く評価しました。
「もあっとなんとなくわかっていることを、正確に短文で、だれでもわかるように言語化する、というのが、まさにこの『読解力』をあげながら、『書く力』につなげていくということ」
授業を見た別の教師から「(「だから」と「しかし」の)使い分けはできているので、教科書から理由を探させるのはどうか」と新井さんに質問がありました。それに対し、新井さんはこう答えました。
「教科書から探させるというのは『検索』のようになる。意味はわからないけれど、『検索』して(答えを)もってくる。それはよくないと思う」
「検索して答えを当てる」というのは、「意味を理解していない」いまのAIがしていることと変わりません。
「読解力」を意識して授業をするようになって、子どもたちの文章に変化があったといいます。
「思っていることを人に伝わるようにする、という意識ができるようになった。教師が意識しないと変わらない。意識しましょうというきっかけ、スイッチを入れてもらった気がする」と今回、授業を行った教師は話しました。
長時間労働の教師にかかる負担
板橋区では子どもたち以外に、教師もリーディングスキルテストを受けました。テストを受けることで、どこで子どもたちがつまずいていたのかを知ることができたと言います。
その経験もふまえ、先ほどの「だから」と「しかし」の授業をした小学校では今、教師たちが自ら「リーディングスキルテスト」の観点を自主的に入れて、「指導案」を出しているそうです。
ただ、校長は「授業の見本がないなか、教師たちが考えて授業を行っていかないといけないこと」を課題にあげていました。ただ、さまざまな教育課題が山積し、長時間労働が問題になっている教育現場で、新たに授業を考え、指導案を作っていくというのは負担がかかるのも事実です。負担を減らすために、指導案を教育現場で共有していくということも今後必要になるでしょう。
板橋区の取り組みはまだ始まったばかりですが、子どもたちの「読解力」を高めるために、教師らの意識は変わってきています。
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