ヴェゼルのターボ、乗ってわかるC-HRとの違い 新グレードを追加した「ヴェゼル」の実力は?

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C-HRがドイツのニュルブルクリンクでの試験走行や、欧州各地の公道での走り込みを経て、走行性能の高さを訴えかけ、外観の特徴的な造形とともに走りが消費者の購入動機につながっている様子を目の当たりにしたうえでの発言とも受け取れる。実際、「2015年と2018年の調査結果を比べると、走りを重視するお客様が増えている」(同)とのことである。

1.5リッターガソリンターボエンジン車は、「ヴェゼル・ツーリング」と名付けられ、「ほかと違う上質なスポーツモデルの意味を込めました」と、開発責任者は説明する。技術面では、4輪のブレーキ制御を用い、アンダーステアを抑えるアジャイルハンドリングアシスト機能をヴェゼルとしては初めてツーリングに採用している。また、外観にツーリング専用の加飾や外装色、内装では専用のブラウンインテリアが与えられた。

視認性を重視した作り

ヴェゼル・ツーリングに試乗した。内外装全般の造形は、5年を経ているにもかかわらずまだ古さを覚えさせない魅力をたたえている。C-HRのような特異さがない分、誰にも親しまれる姿だろう。室内は、乗用車的で親しみやすく、また落ち着きがある。運転席から後ろを振り返ってみると、外観はクーペのような絞り込まれた造形であるにもかかわらず、斜め後方の視界が確保されており、後退する際にも安心感がある。斜め左後方がほとんど死角となるC-HRに比べ、運転者に寄り添った視認性重視の心遣いを感じる。

人は、直接それを見ていなくても、視界が確保されていることを認識し、安心を覚える。例えばアルミパネルトラックのように、後ろがまったく見えない運転席は、前を見て運転しているときも視野がふさがれたようで恐怖を伴う。後退する際、後ろの様子を映像で見せたり、あたかも真上からクルマの周囲を見せたりするような画像が提供されても、自分の目で見えるかどうかは人の心理に重要な影響を及ぼすのである。人間中心という、ホンダのクルマづくりの根幹を改めて実感した。

さて、肝心の1.5リッターガソリンターボエンジン投入の成果である。アクセルペダルを軽く踏み込んだ状態では、やはり排気量が1.5リッター並みの加速といえるだろう。ただ、そこから速度を上げていく際にターボチャージャーの威力を実感させる。とはいっても、突然急加速するわけではなく、より排気量の大きいエンジンのような力強さを自然に漲(みなぎ)らせる速度の上げ方である。

したがって、市街地から高速道路まで、アクセル操作に対する違和感はない。ただ、全力加速をさせた際には、試乗車が前輪駆動(FF)であるためか、ハンドルの手ごたえがやや薄くなった。

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