今回は、同時にハイブリッド車のRS(ロード・セーリング)にも比較試乗する機会を得た。こちらは、7速自動変速機とモーターを併せ持ち、1.5リッターガソリンエンジンを7速自動変速機で加減速させながら、モーターで補助する仕組みだ。発進の際、モーターの補助が働くはずだが、ハイブリッドはやや動き出しの加速が弱い。そこが、ホンダが調査した際の顧客の走りへの不満点でもあったのだろう。運転感覚としては1.5リッターガソリンターボエンジンのほうが、あらゆる走行状況で加速を満足させる力を発揮していた。
ツーリングでガソリンターボエンジンを採用したことにより、狙い通り商品性の向上がなされていると確認できた。
乗り心地は「改善の余地がある」
一方、乗り心地については、路面の影響を受けた細かい振動の収まりがよくなく、体への負担が大きい。ことに後席の座り心地が不十分で、長距離移動には厳しい。そこが、最新のヴェゼル・ツーリングでも改善は見られなかった。ハイブリッドのRSも同様である。そうした粗さといった走行感覚に、誕生から5年を経た古さを覚えた。
やや古さを覚えさせたヴェゼルの乗り心地について、開発責任者は、「まだ改善の余地はあると思う」と答え、乗り心地への課題は認識していると語った。
ここにきて、海外からも競合車種が加わった。昨年、ボルボXC40とBMW・X2が相次いで市場導入されたのである。価格帯は、XC40が389万円~、X2が436万円~と、ヴェゼルの207.5万円から(ツーリングは約290.3万円)に比べ2倍近いとはいえ、XC40の人気はウナギ上りの状況だ。今日なお、注文から納車まで9カ月待ちだという。ちなみに、C-HRの価格は229万円~となる。
日本の道路事情からすると、コンパクトSUVといわれるこの車格への注目度はかなり高い状況が続きそうだ。そして競争はより激しさを増すだろう。
ツーリングが加わる前の販売比率は、ハイブリッドが7割でガソリンエンジンが3割であったという。ここにガソリンターボエンジンが追加となったことで、その比率がどこまで変化していくのか。堅調な既存の販売台数に、ガソリンターボエンジン車が上積みされることへの期待は高い。内外装の質の高さは5年を経た今日も見劣りしない。そこに、乗り心地の改善が加われば、いっそう強固な支持を消費者から得られるのではないか。
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