2019年の日本株は再び上昇するのか? テクニカルの専門家3人が大胆に予測

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ーー具体的には何に注目すればいいでしょうか?

吉野:昨年、売られたものに注目しています。例えば、昨年下げたユーロ、新興国通貨、金あたりでしょうか。ドル安になれば、ユーロや新興国通貨は上昇しますし、金も値上がりします。また金は、景気減速で株安が進むと上昇する傾向が見られます。

実際、2008年のリーマンショックでも、ドル安、株安が進むなかで、金価格は上昇しました。またJ-REITですが、2003年から2016年までは株価とJ-REITは連動していたのですが、2016年以降は株価が値上がりしても、J-REITは低迷しました。逆に今は、上昇トレンドに転じています。なので、今年は昨年まで悪かったマーケットに注目するのがいいのではと考えています。あとセクターでいえば、電鉄や電力、金融に注目しています。

藤原:株式の銘柄選びという点からすれば、財務内容がよくて、配当利回りの高いものを探して買っておけばいいでしょう。3月くらいまでに仕込んでおき、夏までに1回転させる。これで10%程度のリターンが取れれば、それで御の字にしなければならない。アベノミクスで資産が10倍になったと騒いでいる投資家もいますが、それはたまたまです。

特に外国人投資家の動きには要注意です。とにかく彼らは、執拗に日本株を売り続けています。それは、これから少なくとも10%は下げると思っているから売っているのであり、その下げが恐らく3月末までに起こるでしょう。そこまで下げた後、彼らが今度は買いに転じるのかどうか。そこが日本株の注目点です。

古城:インバースETF(上場投資信託)に注目しています。株価はゆっくり上がって、急に下げます。インバースETFは、株価が下げると上昇するので、上昇するときは短期間で急に上昇しますが、下げは緩やかです。つまり、上昇に乗り遅れることはあっても、下落したときに逃げ遅れることが少ない。これからの相場は、戦争リスクを常に抱えた状態になるでしょう。

米中の覇権争いは相当根深く、今後50年くらいは続くとみています。ほかに中東問題もあり、今後、こうした戦争リスクによってマーケットが大きく揺さぶられるリスクは、想定しておかなければなりません。

次の上昇局面は2020年から?

吉野:長期見通しを言いますと、2020年から次の上昇局面が始まるとみています。日経平均株価で、2025年には3万円、2030年にはバブル高値を抜けるのではないでしょうか。その原動力は円安です。ドル円の8年サイクルで考えると、2023年以降は円安局面で、1ドル=130円、140円も想定されます。それを考えると、今はキャッシュを貯め込む時期であり、秋口の下げは絶好の買い場になるとみています。

藤原:「持っていれば上がる」という単純な相場は終わりました。これからはタイミングが重視されます。どこで買って、どこで売るか、きちんと目標を立ててポジションを持つことが肝心です。利益率で10%取れれば十分です。銘柄を分散させ、10%値上がりした銘柄が出てきたら即、利食いをすること。そして全部を利食ったら、しばらく休んで、次のチャンスを待つ。そのくらいのスタンスがいいでしょう。

古城:今年の株式市場は、上がったり下がったりを繰り返します。なので、小まめにポジションを変えていかないとうまくいきません。テクニカルが有効な局面でもありますから、ぜひ手法を磨いてください。

鈴木 雅光 JOYnt 代表、金融ジャーナリスト

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すずき・まさみつ / Masamitsu Suzuki

1989年岡三証券入社後、公社債新聞社に転じ、投信業界を中心に取材。2004年独立。出版プロデュースやコンテンツ制作に関わる。著書に『投資信託の不都合な真実』、『「金利」がわかると経済の動きが読めてくる!』等。

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