日経平均株価は重要な節目にさしかかっている もう一段高があるのか、それとも下値模索か

拡大
縮小

一方、国内の企業業績については、2019年3月期は純利益で小幅増益が予想されている。米中貿易摩擦拡大等を背景とする外需減速が重荷となり、下期業績は減益が濃厚だ。また、来期の20年3月期は米中摩擦やドル円軟化、消費税引き上げによる影響懸念から減益見通しだ。

PBR1.1倍は、なお割安な水準

これに対し、日経平均株価採用銘柄の今期予想株価収益率(PER)は1月31日時点で12.1倍(予想ベース)。これは直前に予想1株当たり利益(EPS)が、前期比2割超の減益となった2012年半ば(6月4日に10.6倍)以来の低水準にある。

また、日経平均採用225銘柄ベースでの株価純資産倍率(PBR)は1.1倍台だ。一般的に「PBR=1倍水準」は企業の解散価値といわれ、1株当たり純資産(BPS)を下回った場合の株価は割安とみなす。株価の適正水準(フェアバリュー)を探る指標として信頼性は高い。

事実上2012年末から始まったアベノミクス相場を振り返っても、日経平均株価がPBR1倍割れになったのは2016年(2月12日)と2018年(12月25日)の2回のみだ。さらに、足元における株式の配当利回りも2.2%台で高止まりしている。

減益、減配リスクが消えたわけではないが、これはアベノミクス前の安値をつけた2012年6月以来となる約6年半ぶりの高水準だ。つまり、バリュー面やインカムゲイン(配当)を重視する長期投資家にとっては、投資妙味が高まっている。このようにバリュー面でも日本株の下値は限られそうななかで、テクニカル面では戻りの分岐点に差し掛かっているわけだ。

最後に日経平均株価における重要な節目をあげておく(2月5日時点)
2万4270円   2018年10月高値
2万2565円 3分の2戻し(高値2万4270円→安値1万9155円の下げ幅に対し)
2万2136円 200日線(長期線)
2万1713円 半値戻し(高値2万4270円→安値1万9155円の下げ幅に対し)
2万1316円 75日線(中期線)
2万1109円 38.2%戻し(高値2万4270円→安値1万9155円の下げ幅に対し)
2万0860円 3分の1戻し(高値2万4270円→安値1万9155円の下げ幅に対し)
2万0844円 直近値(2019年1月23日)
2万0617円 2018年3月安値(米中貿易摩擦懸念)
2万0427円 25日線(短期線)
2万0014円 2018年末値
1万9155円 2018年12月安値

中村 克彦 みずほ証券 シニアテクニカルアナリスト

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なかむら かつひこ / Katsuhiko Nakamura

IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)、日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)評議員。

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