EU離脱で「英国の食事」の質はどれだけ下がるか 新鮮な野菜や果物が手に入りにくくなる?
こうした中、医療関係者は「ブレグジットに起因する生鮮品摂取不足で、貧困層を中心に心臓発作や呼吸困難などで早死にする人が増える」ほか、「向こう10年間に1万2000人以上が命を落とす」という考えを示す。さらに、短期間に物価が急上昇することで起こる社会不安で略奪や窃盗事件の増加の可能性も指摘されている。
この記事を取りまとめていた最中に、気になる話題が複数のロンドン在住日本人の知人から寄せられた。「ジャポニカ種(短粒種)のコメがあちこちで売り切れ」だというのだ。
日本とのEPA発効後、イギリスはすぐに離脱
実際、ロンドンの異なる地域にあるアジア系食材店を訪ねてみたところ、かなり高価な日本からの直輸入ブランド米がわずかに残る程度と、明らかな品薄状態にある。ロンドン最大規模のアジア食材卸問屋へEU産短粒種コメの在庫状況をたずねると、「全量が売り切れ。次の入荷時期さえも不明」という心細い返事が返ってきた。
中国系の人々がイギリスの行く末を案じてコメの買い占めに走ったのか、それともたまたま今年は2月5日に迎えた春節(旧正月)元日前のショッピングのついでに買い込んだのか定かではないが、イギリスで「コメの爆買い&転売」を目指す人々がいたらなんとも苦々しい。
あと2カ月以内にやってくる「行く先の見えぬブレグジット」。「合意なき離脱」がもたらす暗雲はことのほか分厚いように感じる。
つい先頃、日本とEUの間でEPAが発効した。日本における欧州産ワインやチーズの値下がりだけでなく、日本製品のEU向け輸出の拡大も期待されている。しかし、EU側の貿易相手国として、大きな役割を占めるはずのイギリスが発効後わずかの期間で脱退する格好となる。
国際通貨基金(IMF)は今年の世界経済成長予測で「経済成長へのリスクは下振れ方向に傾斜」とする主要要因のひとつとして「合意なきブレグジット」を挙げている。はたして、回避不可能となってきたイギリスの混乱は日本にとって「対岸の火事」なのだろうか。しばらくはその動向に眼を光らすべきだろう。
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