地方鉄道の「模型」に詰まった開発のこだわり 「鉄道コレクション」商品化の決め手は話題性
そして、商品ラインナップのもう1つの柱となっているのが、オープンなパッケージの商品だ。こちらは箱の状態で中身が確認でき、数両をまとめたセットで販売していることが多い。このようなオープンパッケージの商品は、当初は関西地方の私鉄の注文から始まった。「毎年10月に『鉄道の日』のイベントがありますが、それに向けて注文を受け、いわゆるOEMで鉄道会社のグッズとして作りはじめた」(担当者)のがきっかけだという。
では、地方ローカル鉄道の車両模型も鉄道会社から注文を受けて生産しているのかというと、これはトミーテック側から模型化の提案を持ちかけるケースが多いという。実は鉄道コレクションは、2005年に発売した第1弾から地方ローカル線の旧型車両がテーマだった。
地方鉄道の車両を商品化する際に意識している点の1つは話題性だという。「『登場何周年』や、車両が運転終了間近といった話題性は背中を押してくれますね。たとえば筑豊電鉄(福岡県)の2000形は、先に同タイプの熊本市電の車両を造っていたので、車両解体の報を聞いてすぐ製品化にとりかかりました」と担当者はいう。
また、「今作らないといけない」(実物がなくなってしまう)というのも、製品化に向けたポイントになるそうだ。2016年に発売した福井鉄道(福井県)の200形は、3編成あるうちの1編成が解体されたというインターネットの情報を見て、その日のうちに福井鉄道に電話をしたという。
バリエーション展開が商品化のカギ
車種の話題性はもちろんだが、同じ金型でバリエーションが展開できるか否かも商品としては重要だ。「金型1点モノでは採算が合いませんので、この車両を造ればほかの鉄道の車両も展開できるとか、そういったことも意識しています」。
ただ、「その一方で1点モノに近いものもある」という。2018年11月末で運行終了した、立山黒部アルペンルートを走る関電トンネルトロリーバスの模型だ(トロリーバスは鉄道の一種のため、一見するとバスだが「鉄道模型」となる)。
トロリーバスは関電トンネルのものが運行していた際でも日本国内には2カ所しか存在せず、バリエーション展開は事実上できない。だが、「金型の使い回しが効かない1点モノですが、造る意義を感じて製品化に踏み切りました」と担当者はいう。貴重な乗り物を模型として残したいという熱意だろう。
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