「世界の蜷川」の東南アジア"武士道"輸出戦略 海外で、演出はローカライズすべきなのか?

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——およそ20年ぶりにシンガポールに来られて、街の様子は当時とは変わっていましたか?

実は舞台の幕が上がるまでというのは、お客さんが自分の作品を楽しんでくれるだろうかと不安で、まるでお客さんが敵のように思えて、怖くて観光もできないのです。(笑)ですから、今晩の公演が終わったら少し街を歩いてみようと思います。

武士道を世界に伝えたい

——なぜ今、『ムサシ』という作品を選んだのでしょうか?

今、世界中で起きている紛争というのは、ある恨みに対して誰かが恨みで返すことで起こっていると考えています。そういうやり方ではない、恨みを断ち切ることで紛争を終わらせる武士道のような概念があることを、世界に対して伝えたいと思ったからです。

——なぜ、シンガポールで公演しようと思われたのですか?

いつかもう一度、シンガポールでやってみたかったのです。これまで数多くヨーロッパで公演を重ねてきて、ヨーロッパ的な演劇の枠組みの中で、自分にできること、できないことというのがわかってきました。一方でアジアにはヨーロッパ的ではない演劇の進化のあり方があると思っています。シンガポールではどんなお客さんが来るのか、どんな反応が起きるのか、事前にはまったく想像がつかなかったのですが、今回の経験は、私がこれから世界を理解する助けになると思います。

——『ムサシ』の中では、セットの竹林が自然の風で揺れるような動きを見せます。あれはどのような装置で行っているのですか?

実は技術的なことは僕にはわからないのです。というよりも、わかろうとすることを自分の中で拒絶しているところがあります。なぜかというと、あまり技術的なことを知りすぎると、自分がやりたい演出をスタッフに要求できなくなるからです。でも、私が言ったことはすべて優秀なスタッフが実現してくれます。

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