英EU離脱・原発凍結で日立「鉄道」はどうなる? 欧州2強統合に破談観測、市場環境は大激変

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EU離脱問題と並び、日立を取り巻くもう一つの不透明要因が、シーメンスとアルストムの統合だ。2017年11月に鉄道事業の統合を発表し、本来なら昨年末までに統合を完了しているはずが「独占禁止法に抵触するおそれがある」として、欧州委員会が横やりを入れているのだ。

両社は統合によるスケールメリットを武器に、台頭著しい中国メーカー・中国中車に価格面で張り合うことができるとしているが、欧州委員会は、統合後の新会社が圧倒的なシェアを持ち市場を独占することで、かえって価格が下がらず、それが値上げにつながることを警戒している。

ドーマー氏は、早くからその可能性に気づいていた。昨年9月、東洋経済の取材に対し「統合がすんなり承認されるとは限らない。独禁法回避のため、統合に際して一部事業が切り離されるかもしれない」と発言していた。

ドーマー氏の読みは当たり、両社は昨年暮れにアルストム側の高速鉄道事業や両社の信号事業の一部などを売却すると発表した。とはいえ、それで欧州委員会が納得するかどうかはわからない。統合が破談になるという観測も欧州の経済界では浮上している。過去には2002年にフランスの電機メーカー・シュナイダーとルグランの統合が欧州委員会の反対で中止に追い込まれた事例もある。2月18日に予定されている欧州委員会の最終決定まで予断を許さない。

破談なら追い風に?

試運転中のクラス800「あずま」(記者撮影)

今や鉄道売上高が6000億円に手が届くところまで迫っている日立において、現在の目標は売上高1兆円の達成だ。これはビッグスリーと売上高で肩を並べることを意味しているが、シーメンスとアルストムが統合するとその売上高は2兆円規模となり、その背中は遠のく。

したがって、統合の破談は日立にとって悪い話ではない。仮に統合が実現するにせよ、高速鉄道など競争力の高い事業が切り離されれば、日立にとっては追い風だ。さらに、報道によれば切り離される事業の買い手として、スイスのシュタッドラー、アメリカのワブテックといった車両メーカーに加え、日立の名前も上がっている。

日立は1月17日、英国内で進めてきた原発新設計画の凍結を正式に決定。2019年3月期に約3000億円の損失を計上する見通しだ。原発事業の先行きが見えない中、それだけに鉄道事業への期待は大きい。EU離脱や業界再編といった荒波を乗り越え、日立の鉄道事業はさらに高いステージへ踏み出すことができるだろうか。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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