日本がはまり込んだ深刻な「貧富格差」の現実 所得格差のレベルは先進国でワースト8位
世界第3位の経済大国である日本が、ワースト8に入っていることは恥ずべきことだが、日本の場合、メディアが積極的に報道しようとしないために、政府も本気で改善に力を入れようとする姿勢が見えない。問題の深刻さは、経済再生=アベノミクスの陰でクローズアップされていない。
もっとも、現在世界中で起きている極右勢力の台頭やポピュリズムの動きも、貧困や格差社会がその根底に流れており、貧困や格差の問題を政治の問題にすり替えようとする動きが大衆迎合主義などにつながっていると言っていい。
深刻なのは、子どもだけではない。厚生労働省の国民生活基礎調査によると、日本の貧困率はひとり親世帯の貧困率が50.8%なのだが高齢者世帯の貧困状態も深刻になりつつある。65歳以上の高齢者のいる世帯の貧困率は27.0%に達しており、4世帯に1世帯以上が、現役世代の収入の半分以下の収入で暮らしていることになる。
しかも、単身世帯での貧困率はさらに深刻で男性単身世帯で36.4%、女性の単身世帯では実に56.2%が貧困層と定義づけられている。65歳以上の女性の一人暮らしは、2人に1人以上が貧困の状態というわけだ。
家計調査年報(2017年)によると、無職の高齢者世帯が得ている収入の平均は月額で12万2000円、年換算で147万円となっている。その一方で、高齢者世帯(2人以上世帯のうちの勤労世帯)の平均貯蓄額は70歳以上で2385万円、60代で2382万円と、現役世代に比べて圧倒的に高く、40代の2倍以上となっている。
つまり高齢世帯ほど貧富の格差があるということだ。公的年金制度の存続が大きなカギとなるが、高齢世帯の貧富の格差は今後大きな社会問題になるかもしれない。
格差社会の縮小こそが貧困対策
世界の絶対的貧困問題にしても、また日本の子どもや高齢者世帯の貧困問題にしても、解決方法はそう簡単なことではない。政府が積極的に格差社会の縮小に乗り出し、アメリカのような極端な自由主義を改め、富裕層から税金をたくさん徴収してそれを貧困層に配分する必要がある。
アメリカの共和党政権や日本の自民党政権などの保守系政党が最も嫌う政策だが、現在のような状況がいつまでも続けば、フランスのイエローベスト運動に見るような、一般の民衆が立ち上がる時代になっていくのは避けられないかもしれない。
民衆の抗議行動を軍事で押さえつけるには限界がある。アメリカのトランプ大統領が誕生した段階で、格差社会が縮小しなければ、 ポピュリズムや保守党政権の政策が間違っていることを示すことになる。
「貧困撲滅のための国際デー(10月17日)」に合わせて声明などを出している「国際労働機関(ILO)」なども、さまざまな活動を実施しているが、異常気象や国際紛争などによって、時々刻々と新しい貧困層が誕生しているのも現実だ。
2016年時点で、世界全体では3億2700万人が働いていながらも極度の貧困に陥っている、と言われる。
最近になって、現在の資本主義には限界がきている、とする指摘が多くなってきた。確かに、これまでの資本主義社会は限界に近づいているかもしれない。大きな時代の流れの中で、格差をどう捉えていくのかを考える必要があるのかもしれない。
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