山梨知事選、二階=岸田連携に思わぬ「死角」 積年の「保守分裂選挙」の怨念は払拭できるか
「亥年選挙」の初戦となる、1月27日投開票の山梨県知事選が中央政界で注目を集めている。自民、公明両党が推薦する新人と、立憲民主、国民民主両党が推薦する現職による与野党対決となり、4月の統一地方選や7月の参院選の行方を左右しかねないからだ。推薦候補をめぐる自民党岸田、二階両派の怨念も引きずっており、安倍晋三首相にとっても「死角だらけの危うい選挙」(自民選対)となる。
10日に告示された同知事選には、届け出順に花田仁(57、諸派)、米長晴信(53、無所属)、後藤斎(61、現職・無所属)、長崎幸太郎(50、無所属)の4氏が立候補した。自公両党の推す長崎前衆院議員と、立憲・国民両党が推す後藤現知事の事実上の一騎打ちの構図だ。
後藤知事は農林水産省出身の旧民主党衆院議員(当選4回)で、2015年1月の前回知事選に当時の民主党を離党して無所属で出馬。民主党以外に、独自候補を擁立できなかった自民、公明両党の推薦も得て圧勝した。しかし、今回は2017年秋の衆院選で山梨2区で落選した長崎氏が手を挙げ、同氏が所属する自民党二階派の二階俊博幹事長が後押しして、与党推薦候補として野党系の現職に挑戦することになった。
残る保守分裂選挙の「後遺症」
山梨県はもともと「政界のドン」といわれた自民党の金丸信・元副総裁(故人)をはじめ、堀内光雄・元総務会長(同)ら自民党の大物議員を輩出、「保守王国」と呼ばれてきた。しかし、大物同士ゆえの権力闘争が選挙での保守分裂につながり、衆参両院選挙や知事選で野党候補が漁夫の利を得て勝利するケースが相次いでいた。自民党県連幹部は「自民陣営が感情的対立などで分裂し、候補者争いで敗れた勢力が野党側と手を結んで対抗馬をぶつけるという、負の連鎖が続いてきた」と嘆く。
今回の知事選も国政選挙での保守分裂の後遺症が残っている。長崎氏は、2005年夏のいわゆる郵政選挙で、郵政反対派への刺客として自民党公認で山梨2区から出馬、比例復活で当選した人物だ。その時に標的となったのが、自民党堀内派(現岸田派)の会長を務め、県下の有力企業・富士急行を率いる堀内光雄氏だった。その後も同区は保守分裂選挙を繰り返し、2017年衆院選の同区では、堀内光雄氏の長男で富士急行社長の光一郎氏の妻、堀内詔子衆院議員が長崎氏に競り勝った。
郵政選挙以来、同区では長崎氏と堀内親子が5回対決し、長崎氏を抱える二階派と堀内氏所属の岸田派による激しい派閥抗争選挙を続けてきた。特に2017年衆院選は、党幹事長の二階氏と政調会長の岸田氏の面子がかかった選挙となり、長崎氏が比例復活もできずに落選したことで岸田派幹部は「もう仲間割れは終わりにしたい」と語っていた。
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