武田ウェバー社長「自信満々」に死角はないか シャイアー巨額買収が成立しても残る不安

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それでも研究開発費は従来の年間3000億円規模から、シャイアー買収で4000億円台に拡大する見通しだ。新薬の開発対象が難度の高いものに移り、新薬成功までにかかる研究開発費が1製品当たり2800億円までに膨脹。成功確率も3万分の1以下に下がってきているとも言われるグローバルな創薬研究開発の環境にあって、研究開発への投資余力の大きさはプラスに働くことは確かだ。

「グローバルをめざすなら研究開発費で5000億円は最低限必要」(中外製薬の永山治・会長)という声は世界的には決して少数ではない。グローバル基準である5000億円には届かないが、日本の製薬会社にあって武田は初めて、明確にその方向に足を踏み出した。

ブリストル・マイヤーズの8兆円買収

くしくも、2019年の新年早々、アメリカ製薬大手のブリストル・マイヤーズ・スクイブがアメリカのバイオ医薬大手セルジーンを8兆円で巨額買収することを発表した。研究開発費がますます巨額になり、一定の時期が来れば稼ぎ頭の大型薬といえども、特許切れで売り上げが急落する製薬業界にあって、大型M&Aは成長や売り上げ維持のための「特効薬」であることは否定できない。ウェバー社長が言うように「世界の製薬大手で買収は不可避」だ。

買収成功のカギは実はシンプルだ。良い相手を選び、適正価格で買収したうえで、買収金額を払っても1+1=2以上の収益が出るようにシナジーを発揮できる。そして、統合をうまく進めることのできる経営手腕があるかどうかだ。

ウェバー社長の目利きの力や経営能力は今回の買収成立後に収益の数字となってまさに丸裸になる。乾坤一擲の賭けでもある巨額買収で、武田薬品が本物のメガファーマに脱皮できるのかどうか。真贋が判明するのはそう遠い時期ではない。

大西 富士男 東洋経済 記者

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おおにし ふじお / Fujio Onishi

医薬品業界を担当。自動車メーカーを経て、1990年東洋経済新報社入社。『会社四季報』『週刊東洋経済』編集部、ゼネコン、自動車、保険、繊維、商社、石油エネルギーなどの業界担当を歴任。

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