武田ウェバー社長「自信満々」に死角はないか シャイアー巨額買収が成立しても残る不安

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この点で深く関係するのが、シャイアーの収益柱である、世界シェア約4割と推定される血友病治療薬の売り上げ縮小懸念だ。中外製薬が創製し、世界最大手の製薬企業ロシュ・グループが2018年から発売する新薬「ヘムライブラ」が、その革新的な利便性・効果の高さから、シャイアーの基盤を急速に切り崩すという見方が市場にはある。

この点について、ウェバー社長は「それは理解しているが、その行方を注視している」と答えるのみだった。「(新しい薬に対し)慎重な患者もいる」と、ロシュの新薬の浸透が遅れることへの期待感もにじませたが、具体的な数字を示しての影響や将来見通しは提示できずじまいだった。

今年5月開催予定の決算説明会で、武田薬品は2019年度の業績見通し(ガイダンス)や統合の最新の進捗状況、長期に目指す絵姿を開示する予定だ。買収完了後は、将来の利益予測を開示できない理由に以前挙げていたイギリスのルールの縛りはなくなり、会社の自由意思で、将来の利益予想は示せるはず。株主や市場が持つ疑念をどこまで払拭できるか。

シャイアーの研究開発力はない?

後期段階の新薬開発プログラムはシャイアー買収で21に増える。180以上ある外部との研究開発提携などオープンなイノベーション手法も駆使することで、「こうした研究開発が長期の成長を牽引する」ことをウェバー社長会見で強調した。しかし、武田薬品はこれまで有望新薬の開発に10年以上失敗してきた。シャイアー買収によって、長期低迷の元凶である低下した研究開発力の本格的回復につなげられるのか。

そもそも希少疾患では世界のリーダーと言われるシャイアーだが、その研究開発力のポテンシャルには市場に疑問視する声がある。シャイアーが買収を繰り返して急成長してきたこともあり、オリジナルの研究開発力はないというのだ。シャイアーが進める後期開発品の中でも、市場は大型薬に育つ可能性はあるものは数少ないとみている。

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