振り向けば独走、駅前一等地に大増殖中のラーメンチェーン「ハイデイ日高」
1999年を挟んだ5~6年間、外食の株式公開が集中した時期があった。牛丼のゼンショー、格安イタリアンのサイゼリヤ、居酒屋のコロワイド、コーヒーのスターバックス コーヒージャパンと、時代を彩った有名企業がゾロゾロ。経営近代化に向け日本マクドナルドが上場したのも2001年7月だ。
それから約10年、経営の巧拙が如実に表れた。ゼンショー、コロワイドなどM&A多用派は、その効果発現が不十分。タスコシステムは不十分どころか破綻。一世風靡した牛角のレックスホールディングスは、問題の多いMBOで上場廃止だ。
一方、急激な拡大戦略が失敗したのは幸楽苑、梅の花。なか卯、焼肉屋さかいなどさまざまな事情から競合先やファンドにのまれた会社も多い。好調組はサイゼリヤ、マクドナルドなど少数だが、これらとて一本調子に成長してきたわけではない。
外食版「ウサギとカメ」 6期連続で増収増益
そんな中、上場来連続増収、直近5期連続営業増益を達成しているのが、ラーメン中心の中華料理チェーン、ハイデイ日高。業界の耳目を集めるようなM&Aとは無縁、どころかいまだに決算は「非連結」。出店も埼玉、東京を軸に主要鉄道駅前を一つひとつ攻略。その足取りはまるで「ウサギとカメ」のカメのようだ。
この外食不況下では新店頼みの増収企業が多く、既存店売上高の前年同期比プラスはまれである。その点でもハイデイは、07年1月から既存店売上高の前年同月比超がほぼ定着、今09年2月期も11月までで102%と引き続き好調。6期連続増収増益をほぼ確実にしている。
好調な理由はまず安さ。今、好調な外食企業はみな安い。ハイデイ日高の中華そばは1杯390円、300グラムの野菜が入ったタンメンは490円だ。さらにハイデイならではの理由が創業来の長時間営業だ。
主力業態の「日高屋」は通常昼の11時から翌朝3~4時まで営業する。駅前立地なのでランチタイムの後は定食目当ての学生、夜は勤め人、深夜は水商売関係とアイドルタイムが少ない。理屈はわかっても、深夜の労働力調達は難しく、企業規模が大きくなるほど追随は難しい。
その点個人経営は小回りが利くが、交代勤務が難しいので「個人は長時間経営に耐えられない」と社長の神田正。だが、実は神田こそ、個人経営から身を興した人なのだ。
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