振り向けば独走、駅前一等地に大増殖中のラーメンチェーン「ハイデイ日高」

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「電車を降りたら、必ず日高屋」を目指す

この外食不況でも神田は意気軒高である。「バブル後も低価格を武器に伸びた。今は当時に似ている」。実際、繁華街には優良な店舗案件がゴロゴロ。厳選しても出店が計画を大きく上回る。あえて言えば、今はむしろ慢心を戒めるときだ。

ただ、今後、加速度的に利益が拡大するかというと、それは微妙。神田は「営業利益率は10%強あればいい。上回る分はお客さんと従業員に還元したい」と考えている。

たとえばギョーザ。7月に皮や具材を変え、ニンニクギョーザと野菜ギョーザを一本化し、新たに190円で投入した。まだ3年しか使っていない製造機を入れ替えて、0.7億円の除却損が発生した。

工場側は、2~3年内に実施される行田工場増築に合わせて更新すればいい、という腹だったが、高橋が「ギョーザが戦略商品である以上、まずくもないがうまくもないものを提供していいのか」と押し切った。しかも、新ギョーザは従来の手順ではパリパリ感が出ないことがわかり、今度はメーカーと焼き器を開発。電気容量等の制約がないかぎり、全店で入れ替えていく。もともと来店客の3人に1人が注文する商品だから、損を出してまで急がなくてもよさそうだが、「人気商品だからやる」と高橋は言い切る。

ハイデイにとって、従業員への還元は永遠の課題だ。これまで幸いにもカネの面で窮地に立つことはなかった。最大の問題はつねに人。深夜を含む長時間営業をいとわぬ人材をどうそろえるか、に尽きた。店を任せた人間に売り上げを持ち逃げされたことも一度や二度ではない。

それでも誰かに任せなくてはならない。慢性的人手不足のため、店を閉めた明け方、求人の張り紙を電柱に張って歩いた。養護施設や更生中の人を見守る保護司の元へリクルートに行き、紹介してもらった。神田にとって、会社とは人がすべてであり、社員あっての会社なのだ。だから社員にも「この会社に入ってよかった、と思ってほしい」と言う。

そのために、できるだけのことはする。業績好調で目立たないが、今期は退職給付制度を改善したため、0・3億円の費用増になっている。また、企業理念浸透のため直営が基本だが、社内FCは認める。実験段階の立ち飲みの焼き鳥屋は退職者の受け皿も兼ねる。「60歳過ぎて、鍋振るのはきついからね」と神田。

一見、株主よりも顧客や従業員を重視しているように見える。が、ちょっと違う。顧客の支持と従業員の士気が高まれば、おのずと売り上げが増えると信じる。その結果株主価値も高まるはず--。見ている人は見ているもので、外国人株主比率10%は外食ではかなり高い数字だ。

目下の目標は400店舗。「南関東の山手線、常磐線、総武線、東海道線の各駅に出せばできる」。人材制約があるので無理はしないが、今のペースなら5~6年で達成できる。「コンビニのように電車を降りたら必ず日高屋があるようにしたい」。だから、入りやすさが大事。「長靴に鉢巻で入れるのがいい。高級な感じにはしたくない」。原点はいつまでも創業時の“屋台”。目指すは食のインフラだ。=敬称略=

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(撮影:尾形文繁、風間仁一郎 =週刊東洋経済)

筒井 幹雄 東洋経済 記者

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つつい みきお / Mikio Tsutsui

『会社四季報』編集長などを経て、現職は編集委員。

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