丸井が2019年も「売らない店」に突き進むワケ 飲食やシェアリングサービスに力を注ぐ

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さらに、静岡マルイには2017年12月に、空間だけでなく専用のSNSサービスも利用できるシェアスペース「エニシア」をオープンした。

丸井は小売り総取扱高に占める、こういったモノを利用することを中心にしたサービスの売り上げ・取扱高を2023年に30%以上、2048年に50%以上にするもくろみだ。

全社員で「長期ビジョン」を策定

グリーンビジネスの一環として、再生可能エネルギーへの取り組みも強化する。2018年12月に、エネルギーベンチャーの「みんな電力」と資本業務提携を結んだ。同年9月から新宿マルイ本館でブロックチェーン技術を活用したみんな電力のサービスを導入しており、これにより同館の2018年度電力量のうち約90%が再生可能エネルギーとなった。同館では今後も利用を推進し、2019年度に再生エネルギー使用率100%を目指す。

丸井グループの青井浩社長は「“モノからコトへ”といった需要変化への対応が課題」と強調する(撮影:梅谷秀司)

丸井がグリーンビジネスを強化する背景には、独自の長期環境分析がある。2018年の年初から1年をかけて、役員から若手社員まですべての社員が参加し、長期ビジョン・目標の策定に取り組んできた。

その中で焦点を当てたのが、新興国の人口増加に伴う水、エネルギー、食料需要の増大、資源枯渇といった30年後の環境問題だった。丸井の調査資料によると、国内における衣料品は消費量が伸びていないのに供給量(輸入+国内生産量)ばかりが増えてきた結果、2017年には供給量の半分が廃棄されていることがわかった。

同社では小売り事業の中心に衣料品を永らく据えてきたこともあり、長期分析結果を踏まえて、今後は環境負荷軽減に取り組む方針だ。丸井の青井社長は普段から、「モノを売る店がまったくなくても、多くの顧客で賑わっている商業施設をつくるのが夢」と話す。2019年に数々の施策を打ち出すことで、その願望に近づくことができるか。

梅咲 恵司 東洋経済 記者

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うめさき けいじ / Keiji Umesaki

ゼネコン・建設業界を担当。過去に小売り、不動産、精密業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。著書に『百貨店・デパート興亡史』(イースト・プレス)。

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