学問の下流化 竹内洋著

学問の下流化 竹内洋著

魅力的な書名だが、著者が近年、新聞雑誌に書いてきた100編余の書評、エッセイなどを再構成している。学問、格差社会、知識人、大学(特に東大)と大学改革、教養論をはじめ、いくつかのテーマに仕分けされていて、それぞれに現代的意義が伝わってくる。知識人では丸山真男を中心に蓑田胸喜(みのだむねき)、平泉澄(きよし)なども論じられ、別章での夏目漱石論までその流れで読むのも面白い。

教養論で興味を引くのはやはり教養主義の没落であり、かつ「邪魔する教養」が論じられるところだ。教養が邪魔して何かができないことが今ほど大事なときはないという指摘は鋭い。そして「学問の下流化」が通奏低音のように流れるのだが、下流学問とは要するにポピュリズムであり、ジャーナリズムや世論との相関が問われている。政治、学問の劣化の中でアカデミズムの復権は可能か、注目すべき視点である。本誌掲載の「読書日記」も収録されている。(純)

中央公論新社 1995円

Amazonで見る
楽天で見る

ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 自衛隊員も学ぶ!メンタルチューニング
  • 働き盛りでがんになった人たちの行動
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
  • 最新の週刊東洋経済
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
正規と非正規「格差訴訟」<br>判断が分かれた最高裁判決

非正規労働者が年末年始の待遇や病気休暇などについて正社員との格差是正を訴え、最高裁は格差は不合理で違法とする判決を出しました。一方で賞与や退職金についての格差是正はほぼ全面的に退ける判決も。非正規労働者の待遇は改善するのでしょうか。

東洋経済education×ICT